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2001/11/01

アニアス・ワイルダー展

art144_01_1今回の展示風景

■2000年5月以来、再びアニアス・ワイルダーがやってきた。'67年スコットランド生まれ。彼は、ドイツやノルウェー、日本でも盛岡や京都など、レジデンスも利用しながら各地を旅している。その土地で集めた木材を積み木のように組み合わせ、釘や接着剤なしに立体を構築しては、あっけなくひと蹴りで破壊してしまうのだ。人間の組体操やトランプタワーのような、瞬間の崩落。

■前回私が訪れたときは構築中で、日本の竹細工にも似た、光と影が美しい直方体が数本立った。しかし、後日行われた破壊パフォーマンスは目撃しそびれてしまった。今回は、さらに難しい3体の球体が連続してつくりあげられていた。崩れ方がいまひとつと予測されるため、今回は公開破壊パフォーマンスはない。ちょっとがっかり。いや、そんな自分が申し訳ないようなフクザツな気分。

■近づいて観ると、たくさんの角材が接点をもって、ひとつのかたちとなって自立している。それは計算されているのだろうが、図面通りの厳密な建築という類ではない。つくらずにつくる、逆らわずに法則を見つけて融合させていったような。呼吸を合わせるパートナーシップのような空気を感じる。

■ビデオでは、過去の記録を流していた。蹴りと崩落のシーンでは、見る人は思わず笑ってしまう。あまりにも躊躇がなさ過ぎて、あっけにとられて笑うしかない。天晴れ! その後、こそっと切ない気分になる。

■作品を買いたいといわれても、接着して売ることはしない。どうしても欲しい人には、サインをして板を分けるくらいだという。時間や労力や実体に執着しない潔さが、かえって人を惹きつけそうで心ニクイ。

アニアス・ワイルダー展-超重力・無限再生のかたち
2001年11月1日(木)〜28日(水)
INAXギャラリー
中央区京橋3-6-18 INAXアーキプラザ2F
(地下鉄京橋駅より徒歩1分)
10:00-18:00 日祝休
TEL.03-5250-6530

words : 白坂ゆり

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やはり接着はされていない

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以下、カナダ ケベック州でのレジデンスより「untitled」 2000年

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一瞬にして形がなくなる。この後、床はがれきの山

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微妙なバランス! キックの瞬間

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生き物のように崩れる

2001-11-01 at 10:29 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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