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2001/10/02

Kyoto × Amsterdam-New Directions

「都(みやこ)は移ったか」

03_1フロリアン・ゴツケ「Falling 」、スーツを着た人形が飛び上がっては落ちてゆく

■アムステルダム(以下アムス)から19組、京都から20組のアーティストが参加して、映像作品を展覧会、上映会、ライブ・インスタレーション、パフォーマンスとさまざまな形態で紹介するイベントが京都で行なわれている。会場となった京都芸術センター内の2つのギャラリーと、廊下などのスペースを用いたインスタレーション作品の展示構成も意表をついていて面白い。

■エントランスからギャラリーに向かって、廊下を進むと真中あたりにピークの「Push a」がある。緑色の裸電球が台座に載っていて、ボタンを押すとただ光るだけ。ギャラリーの手前に「Push b」があり、またもやボタンがある。階段の下の凹みに等身大程度にプロジェクションされた男の映像に気づく。「心臓の弱い人・・・」と書かれた注意書きを読み、ボタンを押すと爆音とともに、映像の男が血を流してばったり倒れる。これは悪い癖になるかもしれない、恐ろしい作品だ。しかし、恐いもの見たさに何度も押してみる。

■ギャラリー内のフェムカ・スハープの作品「Prince Klaas : Out of True」は、映像の中にいる人たちの死角や、互いの関係、家の中と外との関係ををうまく利用したものだ。少年が洗濯機の影に隠れ、家のなかを探している家族がドアのあたりまでやってくる。そんな様子が立体的に建て込まれた壁に投影される。1本の8ミリフィルムだけで映しているというのがとても不思議だ。凝った仕掛けがあるわけではないが、映像投影の既製概念を崩した画期的なインスタレーションだ。出品作は、多様な傾向にあるが、どれをとってもウィットがきいていて面白い。そして、京都のアーティストたちも引けを取ることのない作品を発表している。

■2000年は日蘭交流400周年を記念したオランダ年だったため、日本でもオランダの文化が紹介される機会が多かった。オランダの美術の状況を知る機会も増え、若い世代に面白いアーティストがいることや、インディペンデントの組織やアートスペースが精力的に活動を展開していることもわかった。

■企画をした雨森信もアムスから今春日本に帰国したが、再渡欧しアムスで学びたいと希望している。もう一人の企画者で、出品作家でもあるドイツ生まれのフロリアン・ゴツケは、もともとドイツでバイオリン作りのマイスターだったという。アムスへ渡り学校を卒業した後も、彼は残って創作活動をしている。アーティストや関係者をひきつけるアムスの魅力とはどのようなものなのだろう。

■アムスから参加している作家たちは、必ずしもオランダ人というわけではない。京都から参加しているアーティストのうち、京都出身者は2割ほどだ。少し違うのは、アムスの場合は、国内に限らず、ヨーロッパのほかの国の出身者であるなど、いろんなエリアからやってきてアムスを活動拠点としている。ひと昔前なら、芸術の都はパリだったが、いまやヨーロッパの芸術の都は自由都市アムステルダムなのかもしれない。

Kyoto × Amsterdam-New Directions-
2001年10月2日(火)〜21日(日)
京都芸術センター
京都市中京区室町通錦小路上
(地下鉄烏丸線「四条」駅、阪急「烏丸」駅より西北へ徒歩3分)
10:00〜20:00  会期中無休
入場無料
TEL.075-213-1000

*上映会は12日に終了
*高橋匡太によるライブは19日19:30〜、20日14:00〜


words:原久子

03_2 
ピーク「Push b」、ボタンを押す前の映像

03_3ピーク「Push b」、ボタンを押すとこうなる

03_4フェムカ・スハープ「Prince Klaas : Out of True」、立体的な白い壁をスクリーンにしてフィルムが投影されている


03_5長谷圭城「The Black Bird」、風に揺れるカツラが鳥のように宙を舞う


03_7 堀田裕子「Conpound Water」、ダンス=寺西愛、コントラバス=森定道広、うた=森定みずほ

03_6ステファン・スマリウス「Daviscup」、満員のスタンド、誰もいないテニスコートに、ボールを強くボールを打つ音と、拍手が鳴り響く

2001-10-02 at 09:53 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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