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2001/09/25

岩村伸一展

「土で描いた絵」 


art141_03_1まず会場の入口に立つと目に入ってくる作品は3600×3200mm、新石州紙に土、蜜蝋


■10数年に渡り、泥と紙で絵を描いている岩村伸一の展覧会が、大阪で開かれている。日本画などで用いられる岩絵の具をとってもしかり、鉱物のもつ色を絵の具として使うことは昔から行なわれてきた。岩村の絵は市販の絵の具を水で溶いて用いたかのように色も比較的明るく鮮やかだ。しかし、市販の絵の具を使うのとは色もマチエールもまったく違うのである。

■紙の上で乾いた「泥」は、小さな砂の混じったところや、少し固まった部分など多少はある。壁いっぱいの大きな作品にしても、こってりと泥が塗りたくられているわけではなく、全体に塗り広げられている。丸い頭に、耳が2つついた猫かクマか…といった輪郭。どこが中心ともつかないが、どこからか、どんどん、どんどん、塗り広げられて巨大な絵画になっている。

■もう10年以上前だったように思うが、今回使っている新石州紙のような生成りの紙に、岩村氏が人間と等身大くらいのバルタン星人の絵を描いていたのを覚えている。あの大きなハサミのついた手と角張った頭を思い出した。

■帽子や動物の頭のようにみえる「角」を持たないかたちを描いている現在と過去の彼の作品。両者にどんな変化が生まれてきたのか、まだはっきりと分析できずにいるが、ただ強く感じることは、自然にまかせているが故の純粋な「伸びやかさ」だ。見ていて気持ちのいい絵に出会うことができた。

展覧会・岩村伸一
2001年9月25日(火)~10月13日(土)
SAIギャラリー
大阪市北区北浜2-1-16 永和ビル6F
(京阪、地下鉄御堂筋線「淀屋橋駅」より徒歩5分 地下鉄堺筋線「北浜」駅22号階段より西へ徒歩3分)
12:00―19:00 (土曜日~17:00)
日・祝休廊
無料
TEL.06-6222-6881

words:原久子


art141_03_23600×3100mm、新石州紙に土、蜜蝋。
くっきり残る指跡から動きが確認できる

art141_03_3565×765mm、アルシュ紙に鉛筆、土、蜜蝋

art141_03_4565×765mm、アルシュ紙に鉛筆、土、蜜蝋

art141_03_5565×765mm、アルシュ紙に土、蜜蝋

art141_03_6565×765mm、アルシュ紙に土、蜜蝋

2001-09-25 at 11:59 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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