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2001/10/04

松原奈々展

「点と線」

na_11階「froat」より。 毛糸の作品

■GALLRY TAGAは2階建ての建築空間。そのなかに平面と、毛糸で編んだインスタレーションを展開していた。松原は以前、毛糸で編んだ小さな魚のような奇妙なかたちを連続させ、それらが空間に浮かんだまま横切っていくようなインスタレーションを行った。外側ができた中に内側が生まれるような。それは年に一作つくっている、彼女が気になり続けているモチーフだ。今回は、1階では白、2階では紺色の毛糸で編んだ船のようなかたちが糸につながれ、床の海にすべっているようなインスタレーションだった。

■平面作品は、遠ざかると見えない。近づいていくと、点々でなにものかが描かれているのがわかる。ラメ入りの絵具で、ケーキのアイシングみたいにかすかに光っている。写真や雑誌をもとに欲しい線だけをトレースし、ライトボックスで光を当てさらに点でたどったものだ。それは原型のわかるものと別のなにか不明なものに変化しているものもある。彼女にとっては、どんなラインを自分が拾うのか、そこから見えることもあるだろう。

■それは童話「おかしの家」で鳥についばまれると消えてしまう道のように、現れてはいつ消えるかわからないはかなさがある。しかし、見る側の点をたどる目の動き、その一瞬一瞬の行為がパラパラマンガのようにかたちをつくり、その微少な経験の連続が見えない「時間」を意識させている。どことなくゆらーっとした時間の中に身を置いている気分になる。

松原奈々展
2001年10月4日(木)〜10月30日(火)
GALLERY TAGA
東京都世田谷区祖師谷1-34-2
(小田急線祖師谷大蔵駅より商店街を直進、そしがや整形外科を右折、品川プリント前。徒歩5分)
12:00〜19:00(最終日は〜17:00)
日・水曜休
TEL.03-3483-8960

words : 白坂ゆり


na_2「froat」より。 水彩紙、メディウム、アクリル絵具

na_3展示風景

na_4「froat」より。そして舟は行く?


na_5「clue」より。紙、メディウム、アクリル絵具、木製パネル


na_6
「froat」より。もともとあったドアストッパーに糸を巻き付けている

2001-10-04 at 07:22 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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