2001/09/17
岩野勝人展/谷本天志展
「2人の個展」
左「F#006」、右「New moon」(岩野勝人)
■AD&Aギャラリーは、大阪港海岸通のレンガ倉庫から、オフィス街の真中に移転して約1年になる。3フロアあるギャラリーの1階、2階でそれぞれ個展があり、3階に常設展示を行なうというのが、恒例になってきている。アーティストにとっては高い天井というのは展示空間として望ましい条件のひとつだ。そういう意味で、さほど広いとはいえないが、AD&Aの空間は条件を満たしている。
■1階で個展を開いている岩野勝人の作品『New moon』は、球体の1/4の形の作品のなかに、人が入って寝ころべるつくりになっている。中に横たわると揺りかごのように揺れ、樹脂でつくった表面から薄らとこぼれる光に包まれる。岩野の以前発表した『DARK MOON』が人の頭の中に口から入り込み、真っ暗な中に身を置くという作品がある。周囲に人がいるにもかかわず、何かのなかに入りカラダを包み込まれ、視界から他のものが消え、隔離される。少し不安な反面、気持ちが落ち着いてゆくところは2つの作品に共通しているところだ。
■『MENTAL CHAIR』のシリーズなど、人が作品と触れてかかわりながら鑑賞する作品を長くつくっている岩野は、この『New moon』という新作シリーズを野外に置き、人々になかに入ってもらい体験してもらいたいという。そのときには、内部の床にあたるところに干し草を敷いてみたいということだ。
■2階で個展をする谷本のキャンヴァスに描いたペインティング作品をみるのは、筆者にとって今回ずいぶん久しぶりだった。筆を使用せず、指を使って描いてゆく。実験としての絵画ともとれるような「ライン-rain」、「ライト-raito」(2枚組)。指のあとが規則正しく並んでいるが、その繰り返しの作業のなかに何かをつかもうと試みる姿勢を感じた。そして、その行為をなんとももどかしくも感じた。
■「アメニマケヌハナ-flowers never bend with the rainfall」は同じタイトルの作品が3点ある。天へ伸びようとする花と、地を潤そうとする雨の、正反対の力の方向。緊張感と強さと光をバランスよく放つ作品に好感がもてた。
岩野勝人展
AD&A GALLERY 1F
谷本天志展
AD&A GALLERY 2F
大阪市西区西本町1-3-4
(地下鉄四ツ橋線「肥後橋」駅より徒歩5分)
2001年9月17日(月)-28日(土)
海岸通ギャラリー・CASO スペースA~D
大阪市港区海岸通2―7―23
(地下鉄中央線「大阪港」駅から徒歩5分)
11:00~19:00 (土曜日~17:00)
日・祝休廊
TEL.06-6347-8790
words:原久子
「New moon」(岩野勝人)
「F#006」(岩野勝人)
谷本天志展会場風景
左「ライン-rain」
右「ライト-raito」(2枚組)(谷本天志)
「アメニマケヌハナ-flowers never bend with the rainfall」(谷本天志)
2001-09-17 at 11:46 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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