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2001/09/15

居留地映画館

「みんなが散歩に繰り出した夜」 

art140_03_1「BUILD」永田武士+モンノカヅエ

■神戸21世紀復興記念事業の一環として、9月15日、16日の2日間行なわれたアート・イベント『居留地映画館-光と影の街散歩』を紹介したい。内容は、映画にまつわるトークや対談、アニメーションの原型ともいえる上方の伝統芸能「錦影絵」、映像に関するワークショップ他、と昼間のプログラムも盛りだくさん。

■さらに日没後には、6年前の大震災を乗り越え、元気になった神戸の人々の笑顔を、2001年にちなんで2001人分撮影し、神戸市立博物館の壁面他に約8×11mに大きく映し出した「BIG SMILE 2001」。数秒おきに次々と現われる笑顔を、立ち止まったり、しゃがみ込んだりしながら、多くの人が見入っていた。

■公開空地に野外劇場が特設され、無声映画に弁士と楽団がついて昔懐かしの活弁も登場。また、若手アーティストによる(赤青メガネをあてて見る)3Dアニメに、公募したホームビデオをリミックスしたVJまで。街をそぞろ歩いてゆくと、ビルとビルの谷間に光と影でつくったインスタレーションや、建物に直接プロジェクションした映像作品などと出会うという「スリット・ショー」。地図を片手に作品を探しながら歩く参加者の姿は楽しげだった。

■会場となった旧居留地はオフィス街とショッピング街という2つの顔を持つ。偶然、買い物帰りに立ち寄った人。仕事帰りのサラリーマン。いったい街で何が起こったのかとやや驚きつつ、受付で地図などの情報をもらって参加しはじめる人たちも多かった。

■涼しくなった夜の街角を散歩していると、いきなりテトリスもどきの縦に長い巨大なアニメーションが映し出されていたり、ビルのスキマにトンネルから抜け出てくる人の姿が映っていたり。どこからともなく光がこぼれ影が動く気配に、みんなが反応し、いつの間にか一生懸命に見ていた。

居留地映画館
神戸市中央区旧外国人居留地一帯
(公開空地、日本真珠会館、神港ビル他)
2001年9月15日(土)~16日(日)
12:00~22:00


words:原久子


art140_03_2「flourish」
木村望美(スリット・ショー出品作品)
ビルのスキマに可憐に咲いた花のオブジェが光と風を心地よく受けて影が揺れていた。

art140_03_3「書割空間」
高橋匡太+川口怜子(スリット・ショー出品作品)
水玉模様になったビルは、その一角だけ異質な空間になっていた。

art140_03_4「on the grass 2001」
渡部裕二(スリット・ショー出品作品)
駐車場の奥をのぞくと裸足で歩く足元だけが。

art140_03_51896年に神戸に上陸したキネトスコープ(エジソン作)を復元したもの

art140_03_6日本の古い無声映画の上映にはすばらしい弁士の語りがついた

2001-09-15 at 11:41 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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