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2001/05/03

「布・技と術」展

「繊維のなかを歩く」  


e31_04_1「布・技と術の醍醐味」

■京都での展覧会で「布」「技」という文字が出てくると、伝統的な西陣織や京友禅などを想像してしまう人も多かろう。しかし、展示している布は、レーヨンやポリエステルといった素材にプリーツ加工をほどこしたものや、形状記憶素材に皺を加えたものなどだ。若手建築家による空間設計や、映像や音響を用いて、むしろ繊維産業の現代の「技と術」の状況をプレゼンテーションするといった趣向になっている。

■床に鏡面素材を張った会場(「布・技と術の醍醐味」)には、さまざまな素材の長い布を頭上に渡している。南北2ヶ所に分かれた空間には、鉄の錆をレーヨン地に転写し染めた布の展示が北側で、とうもろこしの実を原材料にした成分解性プラスチックでできた布は真っ赤に染められ南側のギャラリーに展示されている。生分解性糸は6ヶ月から1年で土中で炭素ガスと水に分解され、土に返るエコ素材だ。衣服だけなくさまざまな場所に最新の布の技術は用いられている。

■「布・虚實皮膜」は布に潜り込んで、布の繊維のなかを体験できるようなインスタレーションだ。布を撮影したビデオが弧を描くようにしつらえられたスクリーンに4台のプロジェクターにより投影され、まるで繊維のなかのミクロな世界を歩いているような錯覚を覚える。大広間(和室)には150枚の座布団が敷いてある。10台のモニターに、建築家や美術家など様々な分野のつわもの達のインタビューが映し出されていて、布に関するそれぞれの思いなどを語っている。

■布そのものは、この展覧会のために開発されたオリジナルというわけではない。しかし布の「技」と「術」についてまったく知識のない人にも興味をもって接することのできる空間に仕立てあげていた。とくに「布・虚實皮膜」は、ミニマルなサウンドのリズムが心地よく長居してしまいたくなるような展示になっていた。

「布・技と術」展
2001年5月3日(木・祝)-5月27日(日)
京都芸術センター
京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
10:00—20:00
会期中無休 入場無料
TEL.075-213-1000

words:原久子

e131_04_2「布・生々流転」(北ギャラリー)壁は錆びた鉄板、この錆を布に転写している。

e131_04_3「布・生々流転」(南ギャラリー)とうもろこしからつくった布。

e131_04_4「布・虚實皮膜」布をスクリーンにして布の繊維を拡大した映像が投影されている。

e131_04_5「壱佰伍拾座放談」150枚の座布団が並ぶ。モニターにはインタビューの映像

e131_04_6特殊な折り方のプリーツ布

2001-05-03 at 01:04 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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