中川トラヲ展

「風景を絵画する」

会場風景

■山を描いた風景画というのは、絵画のなかでも定番中の定番である。中川トラヲは風景画というモティーフを使って絵画の実験をする。これは風景を描写 しようということではなく。風景画というモデルのなかに、これまでにもすでにいろいろな人達によって行なわれてきたさまざまな絵画的行為をはめこみ、2次元空間における可能性をさらに追求しようとしている。

■風景のなかに置きかえられた記号や筆跡について解き明かすような試行だけでは純粋に作品を楽しむことはできない。だが、中川の作品にはそれだけではない要素があるので見ることの楽しみをさらにふくらませてくれる。

■要素というのは間違いでスキマとか、ヌケとかという言い方もできる。そのぽっかり空いた部分に、見る者が移入してゆける要素があると言ったほうが正しいかもしれない。

■そして、単なる風景画として見てもとてもチャーミングな作品であるということを書いておかねばならないだろう。絵画の実験だの、ナンだのと考える前に、ぱっと見て「カワイイ」と思ってしまったも事実なのだから。

中川トラヲ展　「休日の印象」
2001年5月26日(土)〜6月24日(日)
海岸通ギャラリーCASO　space C
大阪市港区海岸通2-7-23
11:00〜19:00(最終日〜17:00)　月休
入場無料
TEL.06-6576-3633

words:原久子

「休日の印象」キャンヴァスに油彩

「さあ、やってみようか」キャンヴァスに油彩

「そのメタファーを阻止せよ」キャンヴァスに油彩

「Air Gazer」キャンヴァスに油彩

左)「あなたの思う方法で」キャンヴァスに油彩、右)「事の終わり」キャンヴァスに油彩