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2001/04/15

日本オランダ現代美術交流展 3分間の沈黙のために

「テクノロジーは冷たくない 」


e_02_1有地左右一+笹岡敬「LUMINOUS2001」蛍光灯の点滅が作品なのだ!


■こんな仕事をしていると毎日がやけに慌ただしく過ぎていく。足早に観てしまう展覧会も少なくないが、先日観たこの展覧会はしばし時間が過ぎるのを忘れてしまった。もと小学校という大人にとっては懐かしい空間を舞台に、映像やサウンドを使ったテクノロジー系のグループ展が開かれている。

■今は機能していない十思小学校の3階の各教室が展示室。教室の入り口には「図工室」や「会議室」という表示板が残っているものもある。最初に訪れた教室は有地左右一+笹岡敬の「LUMINOUS2001」。蛍光灯を使ってコンセプチュアルな作品を発表しているユニットだ。案の定、教室の蛍光灯をそのまま使って作品にしている。古い蛍光灯にありがちな遅い点灯を生かしているところが面白い。あっちが点いたかと思えばこっちが消え、普通ならイライラしそうな灯りの点滅を見事に作品として見せている。日常を離脱するのに、この部屋から入ったのが正解に思えた。

■そしてお次は小杉美穂子+安藤泰彦の「反復—こんな夢を見た—」。会議室を2つに仕切り、リアルタイムに撮影した映像が時間差で映し出されたり、隣の部屋に映写されている。つい留まってしまう空間だ。2人で別々の部屋にいると一層楽しめる。この建物は上部がアーチ状になった特徴的な窓を持っているが、その窓がたまらなくいい味を出している。

■図工室では浜田剛爾の黒板がずらっと並ぶインスタレーション。クリスティアーン・ズワニッケンの鳥(恐竜?)の頭をしたロボットがせわしなく動く部屋も良かった。集会室での空き缶を使ったアナログなサウンド、和室(家ごと入ってる構造に仰天したがで多種類の豆を整然と並べた展示も和んだ。どの作品もテクノロジー系にありがちな冷たい印象を感じないのが不思議だった。小学校という場にムリなく調和した展示だからだろう。

■同展はICAEE/ヘット・アポロハウス共同企画による日本人とオランダ人アーティストの交流展で、1995-1996年に開催されたシリーズに続くものだそう。受付や監視はボランティアスタッフで運営されていて入場料は無料。オフィス街にあるため、平日昼間はほとんど人がいなくて実にもったいない限り。タイトル「3分間の沈黙のために」は情報が氾濫した現代社会で、自己と向き合う時間を取り戻すきっかけを与えようというもの。日常の喧噪の中でホっと一息つけるはずだ。

日本オランダ現代美術交流展
3分間の沈黙のために
2001年4月15日(日)〜5月6日(日)
十思スクエア3階
東京都中央区日本橋小伝馬町5-1
(営団地下鉄日比谷線「小伝馬町」より徒歩3分 JR総武線「新日本橋」より徒歩5分)
11:00〜19:00
入場無料
TEL 070-5875-7855(会期中の問合せ)

 
words:斎藤博美

e_02_2小杉美穂子+安藤泰彦「反復—こんな夢を見た—」この場を写した映像がこんなに面白いなんて

e_02_3クリスティアーン・ズワニッケンの鳥ロボットはせわしなく動いて目が離せない

e_02_43分間の無音状態が組み込まれたパウル・パンハウゼンのサウンドインスタレーション

e_02_5ヘルマン・デ・フリースの和室を使った展示

e_02_6休憩所のある屋上からの眺め

2001-04-15 at 12:10 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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