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2001/04/11
アートクロッシング広島プロジェクト
「人×街×アートの交差点」
鰕澤達夫作品(シャレオ北広場)
■4月11日、広島初の地下街「シャレオ」が中区紙屋町にオープンし話題を呼んだ。このショッピングモールを中心に、商業施設・県庁やオフィス・市民球場などの観光スポットを地下通 路で結ぶ都市計画の中にアートワークが採用され、オープンに合わせて展覧会が開かれていた。展覧会の主催は、広島市立大学芸術学部。東京から、パブリックアートなどを手がける(株)タウンアートが協力している。
■東西南北に伸びたショッピングモールの広場や通路には「コミュニケーション」をテーマに、グレン・アレン、藤原隆洋ら8名の作品。ライトアートや人の動きで光の色が変わるなどインタラクティブな作品なのだが、デザイナー的仕事との差違に乏しい気も。フロアマップやWEBにも掲載がなく、一般 客への発信も足りない。
■仕事の種類が異なるとはいえ、郊外のベッドタウンへ伸びる新交通「アストラムライン」での小沢剛と東恩納裕一は目立つ。小沢は、昔ながらの広島の風景を写 した約3000枚のステッカーを、自動販売機や車内などに貼りまくり。後日談によれば、学生の間で話題になったのかはがされまくったようだ。東恩納は、広告用ライトボックスや車内に、西洋的な食卓のシルエットを展開。両者とも、洗練されようとする郊外の風景に、あえて違和感を投じていた。
■広島市立大学内の資料館では、岩崎貴宏や平野薫ら博士後期課程5名の展示。広島にはギャラリーがごくわずかで、通常の卒展はハコ探しからはじまるという。グラウンドには、地下街建設の工事中に使用された路面履工板が再利用され、教授陣らのインスタレーションも設置されていた。
■原爆にも耐え、昭和11年築の古典様式の姿を残す旧日本銀行広島支店では、地下金庫など独特の雰囲気とともに、17作家のビデオアートが楽しめた。青木綾子+伊藤存、タイのマイケル・チャオワナサイ、河野寛子、ロンドンのブレイクインシアターが出色。ブレイク…をまとめた若林雅人とサキサトムによる英国留学体験のトークは、もっと多くの学生に来てほしかった。
■「GILL」というグループ以外、市民や学生の作品参加が薄い印象が残った。大学は地域の一員として、住民とどう街をつくれるのか。小沢剛作品でも奔走された道路交通 局・塚田氏は「アストラムラインをアートラインに」と語る。こうしたプロジェクトはいつも、街を変えようとするごく少数の熱意に支えられている。見学に来ていた広島市現代美術館との連携や、今後もソフトとしてのアートの提供の道を拓いてほしい。
アートクロッシング広島プロジェクト
2001年4月11日(水)〜24日(火)
広島市紙屋町地下街シャレオ、広島市立大学ほか
TEL.082-830-1635
words:白坂ゆり
小沢剛「ステッカープロジェクト」(アストラムライン)
東恩納裕一「マッチ売りの少女プロジェクト」(アストラムライン)
履工板が敷き詰められ、三桝正典、佐古昭典ら5名のインスタレーションが。(広島市立大学オープンエアスペース)
旧日本銀行広島支店の窓口にてサキサトムのビデオ作品を上映
ブレイクインシアターのひとり、ジュロエン・オファーマン「グレートエスケープ(偉大なる脱出)」(旧日本銀行広島支店)
2001-04-11 at 12:22 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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