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2001/03/03
田中敦子展
「円の連なり、光の連なり」
「作品*」(再制作) 1000×1000cm
1955年に芦屋公園での「真夏の太陽にいどむ野外モダンアート実験展」に出品した作品の再制作
■田中敦子の作品を、具体美術協会をテーマにした展覧会や、戦後美術の展覧会などで、いろんなかたちでこれまで観てきた。とはいえ、大きく時系列にしたがってまとめられた回顧展をみるのは初めてだ。絵画作品も初期のものから近作まで並び。「電気服」、「舞台服」をその素描を合わせて観ることができ、作品のためのメモ、習作、記録映像などの関連資料とともに田中敦子ワールドともいうべき世界を堪能できる展覧会となっている。
■絵画作品は、複数の円形を複数の線が結んでゆく。この構図は、会場内で鳴り響く20個のベルを2m間隔でつないだ作品(再制作、初出品は1955年)のイメージとも連鎖している。そしてまた「電気服」とも同様にイメージの連鎖がある。
■作品をみてゆくと、子供の頃のクリスマスの記憶を思い出した。ツリーに赤、青、緑、黄色などの電飾が点滅するのを見るのが、プレゼントと同じくらい楽しみだった。いま思えば、とてもちっぽけなツリーだったが、それでもどれだけ見ていても飽きることがなかったし、光の粒に魅せられて恍惚となっていた。オーナメントや金銀のモールなどとは全然比べものにならないくらいに電飾の点滅は素敵だった。
■出品されてた映像資料を通して、はじめて「Round on Sand」(1968年)というパフォーマンス作品を知った。海岸の波打ち際で全長数十メートルにわたり、ピッケルで砂を掻いて円を描き、線で結んでいっている。踊るように、砂浜に描いてゆく田中さんの姿は軽やかで、「電気服」や「舞台服」などのパフォーマンスとはやや異なる一面をみたような気がした。
■野外に展示されていた10m四方のピンクの人絹を地上から30cmの高さに張った作品は、すでに3月25日に撤去されている。しかし、この後、4月24日~5月6日まで、高さ約6m、幅約5mの十字架状の作品が野外に展示されることになっている。これは1956年7月に「具体野外美術展」に出品されたものの再制作になる。
田中敦子 未知の美の探求1954-2000
2001年3月3日(土)~5月6日(日)
芦屋市立美術博物館
芦屋市伊勢町12-25
10:00~17:00(入館は16:30迄)
月曜休館(ただし、4月30日は開館、5月1日休館)
一般500円、高大生400円(中学生以下無料)
TEL.0797-38-5432
●アーティスト・トーク「田中敦子自作を語る」
4月15日(日)午後2時~
定員30名(要予約)
定員になり次第締めきり。(当日、要観覧券)
「作品*」(1956年)
「電気服」(1956年/写真の作品は1986年に再制作されたもの)と、「素描」(1956年)
パフォーマンス「Round on Sand」(1968年)の記録映像
左から「'78B」(1978年)、「1985-3」(1985年)、「1985-5」(1985年)
1965~1980年の作品の展示室の会場風景
1980~2000年の作品の展示室の会場風景
2001-03-03 at 10:55 午前 in 展覧会レポート | Permalink
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