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2001/03/30
シリン・ネシャット展
「男と女:二つの間を埋めるのはあなた」
SHIRIN NESHAT
「荒れ狂う[Turbulent]」1998 ビデオ
[Courtesy Barbara Gladstone]
■建設準備中の金沢市現代美術館がシリーズで企画する「21世紀に向けて芸術の新しい在り方をさぐる」の第9回めのイヴェントとしてシリン・ネシャドの展覧会が開かれている。映像(ビデオ・インスタレーション)3作品と金沢市収蔵の写真作品6点によるものだ。99年のヴェネツィア・ビエンナーレに続き、昨年の光州ビエンナーレでもグランプリを受賞したネシャットはイラン出身の女性アーティストである。
■今回の映像は2つの画面から成り、左右あるいは向かい合わせに映し出されている。男と女、白(男たち)と黒(チャドルの女たち)という対立するような構図のなかで、イスラム教を基盤とした社会の中のさまざまな疑問を表現し、大胆な画面づくりで見る者を強く引きつける。
■登場する頭からすっぽり黒いチャドルに身を包んだ女性はなんとも神秘的だ。イスラム教社会では女性には慎重な立ち居振る舞いをすることが求められる。言葉を発することはないが、この作品のなかで見られる女性の態度は、男性社会に対して強く自己を主張している。大地や風は乾いているのに、潤いを感じることができる。
■[歓喜] Raptureでは、男の集団と女の集団が登場する。要塞のなかで男たち、ある秩序に従い生きている。対照的に、女たちは囲いから離れ、大きな海へと船を出す。その女たちの後ろ姿を囲いのなかからなすすべもなく見ている男たち・・・何ともアイロニカルな作品である。
■作品を目の前にして二つの画面のなかの出来事を受け手が感情で埋めてゆくことで作品はいかようにもかたちを変え、意味を増してゆく。ネシャットは日本では初個展でしかも金沢だけでしか開かれない。見ごたえ十分。ぜひ多くの人に見て欲しい逸品ぞろいのすばらしい展覧会だ。
金沢市現代美術館プレ・イヴェントVol.9
シリン・ネシャット展
2001年3月3日(土)~3月25日(日)
金沢市民芸術村
金沢市大和町1-1
10:00~19:00
会期中無休 入場無料
TEL.076‐220‐2800
SHIRIN NESHAT
「荒れ狂う[Turbulent]」1998 ビデオ
[Courtesy Barbara Gladstone]
SHIRIN NESHAT
「熱情[Fervor]」2000 写真
[Courtesy Barbara Gladstone]
SHIRIN NESHAT
「熱情[Fervor]」2000 写真
[Courtesy Barbara Gladstone]
SHIRIN NESHAT
「無題―《歓喜》シリーズ
[Untitled - Rapture Series]」1999
写真 金沢市所蔵
[Courtesy Barbara Gladstone]
SHIRIN NESHAT
「無題―《歓喜》シリーズ
[Untitled - Rapture Series]」1999
写真 金沢市所蔵
[Courtesy Barbara Gladstone]
2001-03-30 at 09:44 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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