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2001/02/24

4つのテーマによる4つのグループ展 vol.2

「具体的な対象にある抽象的なるもの」


art126_04_1喜多順子作品


■若手作家を紹介する企画のシリーズが2月中旬からはじまった。4週連続、週替わりで、4つのテーマによる4つのグループ展が開かれている。この美術遊覧でもすでにとりあげた面子も多く含まれている。いずれも20代(1970年代生まれ)だが、それぞれ個性的であり、才能溢れる若い作家たちの展覧会だ。

■vol.2のアバウト・ペインティングでは、喜多順子、小川茂雄、山田勝洋、川手華の4名が出品している。4面の壁を1面ずつ使って展示しているが、隣接する版画工房や展示室の外の壁でも作品はエネルギーを静かに全開させている。

■どこにでもあるスナップ写真のような光景をペインティングにした喜多の作品。知人が写真に撮った彼らの普通の家庭の部屋の一角を分割しリミックスしたりしながら描いた小川の作品。小津安二郎の「東京物語」の一場面をトリミングしたりしながら絵画作品へと置き換えた山田の作品。風景や静物を描いた川手の作品。

■彼らの作品に共通しているのは、具体的な対象を描いているが描こうとする内容は、対象そのものというよりそこに漂う空気など、とても抽象的なものだろう。4名の作品は、そういえば、既視感のあるような風景ばかりである。身近にどこにでもあるようで、自分自身ではじつは彼らが体験していない場を描いている場合もある。

■1ヶ月にわたるこのシリーズの14名のなかでも最年少で、今回がはじめての展覧会への出品という山田は今月大学を卒業する。彼は小津映画に出てくる昭和30年代の日本の風景を実際には目にしたことがないにもかかわらず、映画を繰り返し見れば見るほどに懐かしさのようなものを感じ、そこで自分の感じたものを描いてゆきたいという。彼の中にイメージとして作られた風景が、キャンバスの上に改めて描かれてゆく。絵という「作り物」にどこまで彼のメッセージを注ぎ込めるか、彼の、そして彼ら4名の試みはこれからも続いてゆく。

Nomart Project 2001
Project1 4つのテーマによる4つのグループ展
(vol.1-4 2月17日-3月15日)
vol.2アバウト・ペインティング
2001年2月24日(土)-3月1日(木)
ノマルエディション/プロジェクトスペース
大阪市城東区永田5-3-22
(地下鉄中央線「深江橋」駅下車)
11:00-19:00 (土13:00-19:00)
日曜日休 無料
TEL.06-6967-1354


art126_04_2
小川茂雄作品

art126_04_3
山田勝洋作品

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川手華

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展示スペースと隣接する版画工房にも作品がかかっている(小川茂雄作品)

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展示スペースと隣接する版画工房にも作品がかかっている(川手華作品)

2001-02-24 at 10:36 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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