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2001/02/04
拡張する絵画—色彩による試み
「空間を楽しむ」
■これは「いわゆる絵画」ではない展覧会。「いわゆる絵画」とは日本画、洋画、水彩画といった一般的に既知の絵画のこと。でもそれはひとつもない。じゃ一体何があるの? ひとことでいうとインスタレーション展示である。空間全体を作品として見せる現代美術特有の表現方法。それがなぜ絵画なのかと疑問も湧くが、とにかく見てみることにしよう。
■まずエントランス。祐成政徳さんの巨大な黒いバルーンに圧倒される。この建物は大正7年に建てられた旧川崎銀行佐倉支店で、県指定有形文化財でもあるのだ。市松模様の床をはじめモダンな空間だけど、とにかく通路が狭い。監視の目が光るなか作品に触れないように横歩きですすむ。
■お次は第1展示室。紫牟田和俊さんのカラフルなベニヤと木箱が展示室の壁を飾り、中央には佐藤勲さんの白い小部屋と巨大な分厚い絵画?が「く」の字に向き合ってそびえている。部屋の中にはカラーテープを縦横に貼ったきわめて人工的な作品が掛かっている。
■第2展示室には向山喜章さんの円形の白色ワックス作品が壁に床に散りばめられている。うっすらと中の色彩がのぞいていて、奥にはかなりビビットな色が塗られていることを想像させる。エントランスからユニークな演出を見せた祐成さんは、1室の展示ケースを鮮やかな緑に染めてしまった。床に緑色がきれいに反射して、ちょこっと置かれた金箔の椅子が存在感を出している。
■企画を担当した佐倉市立美術館学芸員・黒川さんのテキスト(図録掲載)に「表層的影響よりは内面的影響を重要視することから、現代美術は同時代に生きる人間にとって重要であるといえる」とあり、なるほどと思った。第一印象どまりでなく、1歩踏み込んで作品と対話すること。それがきっと私たちには必要なのだ。とはいえ、会場には綺麗な色、面白い形が溢れているので視覚的に惑わされるかも。
■同展は絵画的な発想を出発点にして素材や表現方法をフリーにした作品を集めた空間演出展といえそう。モチーフやタッチで人の温もりを感じさせる絵画は無いが、きりりとした雰囲気を肌で感じられる魅力的な空間がある。
拡張する絵画—色彩による試み
2001年2月4日(日)〜3月4日(日)
佐倉市立美術館
千葉県佐倉市新町210
(京成線「京成佐倉」より徒歩8分、JR「佐倉」より徒歩20分/バス「京成佐倉駅」行、「田町車庫行「二番町」下車徒歩1分 )
10:00〜18:00 (月曜休、2/13代休)
入場一般600円、高大生400円、小中生以下無料
TEL.043-485-7851
入るといきなりこんな演出に驚かずにはいられない。祐成政徳「a King and I#1(王様と私#1)」
色彩の美しさを感じ取れる紫牟田和俊「16×16×2 pious colors」
目の錯覚が楽しめる。佐藤勲「MISSING LINK, DOUBLE BIND〜NO SIDE 2」
向山喜章「fulmolktoe」(2点とも)ワックスのテーブルに乗ってみたくなる
祐成政徳「a King and I #2(王様と私#2)」これが緑の部屋
佐藤勲「an oral orbit」ここの通路は難しい空間ながらも面白い演出が多い
2001-02-04 at 09:54 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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