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2001/01/01
O-コレクション[ 奈良美智展 ]Part1
「コレクターの気合いと気概」
会場風景 /手前は「Runawaybaby」1995年 マンション1階の小さなスペースだが、椅子もあり落ち着く。
■終わる場所もあればはじまる場所もある。「通常の商業スペースでは扱いきれない、先鋭的な視覚芸術活動をプロデュースする」というアートスペースが、青山のミヅマアートギャラリー向かいにオープンした。
■オーナーは、コレクターの大川原有重氏。彼は古美術も扱うディーラーでもあり、本拠地は福島県の郡山市。だがここでは現代美術作品は売らない。運営費にあてるため(本当は全然及ばないが)、年会費500円のサポート会員制にした。古美術には定まった評価があるが、現代美術はいわば先読み。そして「現代美術に関わるのは自由になりたいからだ」という。作品と長くつきあう中で理解が深まり、慰められたり奮い立たされることもある。そして桐の箱にしまう古美術のように奥へしまい込むのではなく、作品に息をさせたいし多くの人に見せたい。それがコレクターの責任であり社会的役割と考え、他のコレクターが追随してくれるようできるだけ長く実践したいと語る。
■最初の展覧会は、自らのコレクションからの「奈良美智展」。今後も会期を設け、展示替えしながら公開していく。新しいファンにとっても過去のいい作品を初期から見られるのはうれしい。音楽ならすぐにCDを揃えてフォローすることができるが、美術にはそうした手段が少ない。だからこそ展覧会に足を運ぶ意義もあるとはいえ。
■コレクターも多様だと思うが、懐を痛めるうえセンスを問われる分、シビアな選択眼で好きな・重要な作品を買うだろう。作家のサポートにもなり、評価が上がれば、価格云々もあろうがファンとしてもうれしいのでは。それはやはり税金で買うのとは違うだろう。だから、おおいに自慢げに公開してもらいたいし、公開することで新しい道が開くかもしれない。
■「最初に何を買うかが肝心」「作品が作品を呼ぶ」「コレクターの本質は、買うときではなく売るときにわかる」など興味深い話も聞いた。彼は他のコレクターにアドバイスもするし、はじめてアートを見る若い観客にも分け隔てなく話す。
■この後は、同じコレクターの深瀬鋭一郎氏プロデュースによる企画などが続く。他ではやれない企画も「でも、みんな自由になりたいんだろうから」と受け入れた。ディーラーでコレクターで非営利スペース。そうした相反する状態から生まれる使命感や愛情って、矛盾しているといわれそうだが、わかる気がする。
O-コレクション[ 奈良美智展 ]Part1
2001年1月1日(月)〜1月31日(水)
Sho Art
東京都渋谷区神宮前5-47-8メゾンリベラール103
(表参道駅B2出口より徒歩6分。青山通りを渋谷方面へ。無印良品を右折。直進左手)
11:00〜19:00 木休
500円(年会費)
TEL.03-3403-8800(会期中のみ)
今後の予定
●2月2日(金)〜2月28日(水) 日月火休
「渋谷交差点封鎖」イップ B.T.ルービィング展(入場無料)
●3月3日(土)〜3月30日(金)
「パイ投げ絵画」山内崇嗣展(入場無料)
●4月1日(日)〜4月26日(木)
「百万円!」あいだだいや展(入場無料)
●5月8日(火)〜5月31日(木)
O&Fコレクション 曽根裕展(未定)
words:白坂ゆり
「give the water」1993年
上:「貝がらKID」1995年
下:「Standing for the action」1995年
「long long time ago」1991年
「Guitar girl on the ice」1994年
'80年代後半から'93年までのドローイングも15点展示されている。
2001-01-01 at 08:11 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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