« 溝江壽之個展 | メイン | vol.27 櫻田 浩二(Koji Sakurada) »
2001/01/09
金田勝一展
「風景画」
金屏風のうえに描いた「Fair ground attraction」
■ サメが悠々と泳いでいる姿を描いた絵を、作者は「これは全部、風景画です」と説明してくれた。ところどころに出てくる自動車会社のロゴマークは、道路に走っているクルマを記号化したものだという。描かれているのは、彼のアトリエのある亀岡(京都府)の国道沿いで見た風景なのだそうだ。どうしようもない日本のどうしようもない風景、だけど、彼はその場所を気に入っているのだという。
■ 金屏風に描かれた現代の日本。生い茂る葉にまぎれて大きなトマトが実っている。サメとともに赤や黒の金魚が配されている。水中の生物と畑のトマトが同じ画面に登場したりするのが、意外にも違和感なく目に飛び込んでくる。自分の記憶のなかの風景を、画面のうえに取り戻そうとして描いてゆく。
■ しかし、記憶のまま忠実に描くというのではなく、本能的にその一歩手前に筆を留めておくのだそうだ。つかもうとしても、つかむことのできない曖昧なイメージをそのままにしていることにより、受け手がイマジネーションをはたらかせる場が残されている。
■ 金田がちりばめたイメージの断片に置き換えられた記号は、非常に装飾的であったりもする。だが、その現在性がとても若々しく新鮮に私の目には映った。サメのように野生的な生き物と異なり、金魚は人間が愛でるために作り出した生き物だ。われわれの目の前にある「風景」には、確かに両者が同じ時空に共生している。やっぱり、これは「風景画」なのかもしれない。
金田勝一個展
2001年1月9日(火)-21日(日)
ギャラリーココ
京都市東山区三条通神宮道東入るホリホックビル2F
(地下鉄東西線「東山」駅下車東へ徒歩5分)
11:00-19:00 (最終日-17:00)
月曜日休廊 無料
TEL.075-752-9081
word:原久子
TOYOTAのロゴやほかにも自動車メーカーなどのロゴがあるのは、クルマを象徴する記号として描いている
「延長戦に入って大雨」
女子高生に大雨でイメージするものを尋ねると「キッスチョコが食べたくなる」と答えたとか。サメは男性を記号化したものということ。
「Human's own」のシリーズ。サメをモデルにしている。
2001-01-09 at 08:32 午後 in 展覧会レポート | Permalink
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d01538ef40a4f970b
Listed below are links to weblogs that reference 金田勝一展: