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2001/01/12

出会い

「ステキな関係」


■正直いって、アートの展覧会にしてはちょっとへんてこなタイトルだと思っていた。「出会い」だなんて、あまりに抽象的でつかみどころがない。ところが実際は予想外にインパクトがあって面白かったのだ。

■会場に入るとまずアン・ダームスの写真展示室が広がる。スーパーマーケットの商品を写したものだが、よく見ると整然とした商品棚の中にひとつだけ浮いた商品がある。つまり買うつもりで一度カゴにいれた商品を気が変わってその場に置いて帰ってしまったお客の行為の軌跡なのである。日常よくありがちな光景と出会い、とらえた作品は、素直に共感できるのだ。

■ヤン・ファーブルとイリヤ・カバコフというビッグアーティストがコガネムシ、ハエの衣装?を来てニューヨークのビルの地下で交わす対話がビデオ上映されている。彼らの対話に関するドローイングと彼らが身につけた衣装も展示。2人の出会いをきっかけにこれらの作品が生まれたことになる。

■プラメン・デジャノフ&スウェトラナ・ヒガーは、自分たちの展示スペースを企業にショールームとして提供する代わりに展示商品をもらうといったプロジェクトを展開している2人組。企業とコラボレーションすることで社会や経済の構造を問いかける。今回はBMWとの仕事が展示されている。

■そして、非常にいい味を出しているのが島袋道浩+野村誠「タコとタヌキ 島袋野村芸術研究基金」。島袋さんと野村さんによる交流のためのくつろぎスペースで、これまで「出会い」をコンセプトにユニークな活動してきた島袋さんの仕事と、老人ホームで作曲を試みた野村さんのプロジェクトを紹介。取材日に彼らが開催していたのが「岡山直之の仕事」というイベント。熱い魂で「出会い=コミュニケーション」を作品化している熊本県在住の作家・岡山さんのスライドショウと新作が紹介された。作家が鑑賞者を乗せて展覧会場を解説して運ぶ「タクシー」の実演など、実際に乗せてもらったが実に楽しかった。

■全6組のアーティストによる数々なアプローチに出会える場。「常に誰かとつながっていたい」(→携帯電話)の延長線上に「誰か(何か)と出会いたい」(→アート展)はあるかも。1度入場すれば会期中フリーパスなので、ステキな出会いを求めて何度でもどうぞ!

出会い
東京オペラシティアートギャラリー
2001年1月12日(金)〜3月18日(日)
東京都新宿区西新宿3-20-2
(京王新線「初台」より徒歩3分)
12:00〜20:00 金土は〜21:00(月曜休、2/11休)
入場一般900円、高大生700円、小中生500円
TEL 03-5353-0756


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渡辺英司「名称の庭」。図鑑からきりとった植物が展示室一面に広がっている。

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ヤン・ファーブルが制作した「コガネムシのための衣装」。ビデオで彼はこれを身につけている

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プラメン・デジャノフ&スウェトラナ・ヒガー「わりと普通の贅沢(ウィークエンド)」。BMWより提供を受けたカッコイイマウンテンバイクが目を引く

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アン・ダームス「無題」。下着売場にあるべきはずのない商品が…

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出品アーティストの2人。島袋道浩+野村誠

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コミュニケーションを制作テーマにする岡山直之さん。彼のタクシーは大人気!


2001-01-12 at 08:48 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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