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2000/12/04

デニス・ベローネ ショー

「アーティストと美術館々長が勝負した?!」


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場内の雰囲気は挑戦者デニス・ベローネと館長ヤン・フートという感じ


■ 99年5月にオープンしたベルギー・ゲント市現代美術館のオープニングイベントをヤン・フート館長とのボクシングマッチのパフォーマンスで大成功させたデニス・ベローネ(NY在住)の個展が京都と大阪の2ケ所で開かれた。

■ベローネのビデオ映像のシリーズ作品「False History」のひとつとして、今展でこのボクシングマッチのビデオが初めて公開された。「False History」はイブ・クラインやウォーホル、ブルース・ナウマンなどの過去の作品をパロディ化したものだ。ボクシングマッチはヨゼフ・ボイスも行なっている。ベローネはいつも既成の解釈などに疑問を投げかけるような作品をつくっており、さまざまに意味をずらしてゆくことで、人はその落差に笑う。

■ベローネとフートのボクシングはリング上で大勢の観衆の声援のなか、プロの試合のようなスタイルで行なわれたが、二人の動きがぎこちなくておかしい。プラカードや美術館内や場外には「The Fight for Art」と書かれたポスターが貼られている。

■ フートはドクメンタ9(92年、ドイツ・カッセル市)のディレクターをつとめるなど美術界でも非常に存在感のある人物のひとりだ。日本では「水の波紋」展の企画などにかかわったということもあり、よく知られたキュレーターである。そして、つねに自信に満ち、攻撃的な話し方をする。

■しかし、日本の美術館にパフォーマンスに参加してしまう館長なんているだろうか?それも“美術のために闘う"ボクシングマッチに出場してしまう…。だけど、いつも強気なヤン・フートのあのへっぴり腰には笑った。 

デニス・ベローネ ショー
I am not Marcel
●2000年12月4日(月)~31日(日)
大阪会場:Kiti
大阪市鶴見区徳庵1-1-49
(JR学研都市線徳庵駅下車徒歩8分)
11:00-23:00 会期中無休 無料
TEL.06-6914-6865
●2000年12月6日(水)~20日(水)
京都会場:Galelie Weissraum
京都市左京区川端二条上がる
TEL.075-761-8586


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試合終了後もパフォーマンスは続く

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個展初日に行なわれた江口雅之とのパフォーマンス。哲学者ウィトゲンシュタインの言説について、ベロンベロンに酔っぱらいながら、通訳を介して、英語と日本語で議論している。どんどん話しは噛み合わなくなって…それが狙いなわけですが。

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モニターに流れているのは、右が「False History」のひとつブルース・ナウマンとデュシャンの作品をひっかけています。左は新作のテレビCMのパロディー

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ドゥローイングの展示は中2階で。階下に大きくプロジェクションされた映像が見える
会場Kiti

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今展のメイン会場は大阪に新しくできたアートスポットKiti。材木倉庫だった建物を改装したものだ。アトリエとしても展覧会場としても使用される。オフィスにミーティングルーム、そして中二階にはカフェもあり、階下の展示を見ながら飲み物も頂ける。高い天井にはもともとリフトなどもついていて、重い作品の制作や移動に便利。

2000-12-04 at 11:05 午前 in 展覧会レポート | Permalink

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