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2000/11/16

桑村佳孝個展

「帰属するカラダ」


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作品のタイトルはすべて「silent」43.5cm角のキャンバスに描かれている


■立方体の頭をもつ人がどの作品にも登場する。部屋の一部分だったり、柱の一部分だったり。自分の頭の居場所を探しているような場面もときにある。直線の交差で出来上がった部屋にカラダだけが有機的なフォルムで存在する。作品のタイトルはすべて「silent」だ。

■ポストカードを手にしたときから、この四角い頭の人がとても気になっていた。展覧会はもちろん見に行かねばと思っていた。画廊に入って、本物を目の前にしての感想は、とてもリアルにポストカードを手にしたときの最初の印象を確かめることが出来た、とでも言うのだろうか。確認できて「これこれっ」と納得した。

■グレーを基調としたモノトーンで描いたもの、茶系を使って描いたもの。いずれもガッシュ(アクリル絵の具)を用いている。43.5cm角のキャンバスが並んでいて、ひとつひとつは静止している絵柄だが、どこかに隠れたボタンを押すと、すぐにも動き出しそうでもある。キャンバスとキャンバスの間に「パラパラ漫画」のような動きが想像できて愉快である。

■広い部屋にいても、壁にカラダをぴったりすり寄せるように座ると妙に落ち着く経験はだれにもあるのではないだろうか。真ん中に大の字になって寝っ転がっても一向に構わないような時ですら、どこか触れていたい感じ…。桑村さんの作品をみながら、画廊の窓際のベンチに背を壁につけて座ってみた。これこれ、やはりこの感じだ。

■落書きからはじまったのがこの絵なのだと桑村さんは話してくれた。てらいのなさに好感がもてた。


桑村佳孝個展
2000年11月16日(木)~11月28日(火)
複眼ギャラリー
大阪市中央区西心斎橋1-6-23、3F
12:00~20:00 (最終日~17:00)入場無料
TEL 06-6253-3266

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ぶらさがっていたり、はまっていたり

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いつもどこかにおさまっていようとします

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この向かい合わせの「silent」は、本人のなかでもかなりのお気に入りとか

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今回はグレーと、茶系にまとめています。前回の個展ではたくさんの色を使い、自分の伝えたいことが伝わらないものになってしまった反省からこうなったんだそうです

2000-11-16 at 05:22 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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