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2000/10/19

鈴木強個展 ワニと男とダイオキシン

「銀色のワニが息づく空間」

art118_02_1外からもかなり目立つギャラリー外観

■噂に(?)聞いていた「銀色のワニ」と遭遇するため、会場に向かった。場所は杉並区の青梅街道沿いにあるガラス張りのギャラリー。ドアの両脇の壁面に展示されているライトアップされたワニに目を奪われる。ギャラリー内のワニも外からよく見えた。

■室内にいるワニは全部で5匹。全長は160cmですべて銀箔で覆われている。うち2匹は壁面に、3匹は床の上に。ワニはどれもライトボックスに横たわっている。ピンク→紫→青→白→黄色→緑…とゆっくり変色するライトに、銀色ボディが反射して七変化。「色が変わるテンポで息をしているようにも見えるでしょ?」と作家の鈴木強さんは語ってくれた。

■会場中央には赤青白の縞模様をしたポップなテントが設置されている。床のワニはどれもそのテントに向かって前進しているかのよう。テントは女性の象徴だそうで、本能のままに行動するワニ君たち、という設定だが、実は環境ホルモンで生殖機能が退化しつつあるワニ…というなんとも気の毒な状態なのである。

■壁面の2匹は、どちらもライトボックスとクロスして「X」をつくっている。DNA染色体のイメージだそうだ。なるほどこちらも遺伝子系。なんたってサブタイトルは「ワニと男とダイオキシン」なのだから。

■主に日本画を手掛け、動物をモチーフに描いてきた鈴木さん。今回の珍しい立体展示も、継続してきた「旅日記シリーズ」の流れだそう。今の時代を旅するように模索し、イメージを3次元空間で表現した。ユニークなシチュエーションの陰で静かに警鐘を鳴らしながら。それにしても、虹色に照らし出されたワニの幻想的なこと!

鈴木強個展 ワニと男とダイオキシン
2000年10月19日(木)〜10月31日(火)
香染美術
東京都杉並区阿佐谷南1-10-1松永ビル1F
( 地下鉄丸の内線「南阿佐ヶ谷」より徒歩3分、JR中央線「阿佐ヶ谷」駅より徒歩10分 )
11:00〜19:00(無休)入場無料
TEL 03-3314-9106

words:斎藤博美


art118_02_2円形のライトボックスに横たわるワニ

art118_02_3視線を落として正面からとらえると、こんなにワイルド!

art118_02_4ワニとライトボックスが重なって「X」型になっている

art118_02_5地上のワニはテントに向かって進む


2000-10-19 at 05:13 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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