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2000/09/16
田邉晴子展―眠れる館
「積極的な眠り」
1階の展示風景
■ 眠るとき、まっすぐ上を向いて寝ますか?それともまるくなって?お母さんのお腹の中にいるとき、胎児は膝を抱え込むようにまるくなっている。裸体をまるくして横たわる若い男性や女性。目を閉じている姿は、とても心地よさそうで、一緒にそこに寄り添って眠りたい気分になる。写真を撮り、ビニール素材に定着させ、空気で膨らませてクッションのようにしたもの。あるいは、ソファと一体化したように、横になった裸体。これらはみな田邉晴子の作品のなかのオブジェたちだ。
■ なぜ、眠っている姿をモティーフにするのかと彼女に尋ねた。すると、眠っているというよりは、これから眠りから覚める人たちのイメージなのだという答えが返ってきた。2ヶ月前に母となったことで、少し最近「眠り」に対する意識が変化したらしい。眠るのが仕事のような赤ちゃんは、眠るという行為を前向きに行なっていて、眠るたびに大きく成長する。眠ることは「生きる」ということなのだと思いはじめた、という。
■ 1階はチャイルドルーム、2階はリビング・ルーム、3階はプライベートルームという設定にしている。チャイルド・ルームは遊びの部屋で、木板に目を閉じた人の写真を定着させて、パズルにしたおもちゃなどがクッションやソファの傍らにある。人はおもちゃによって遊ばされているようなところがある。そんな意味も含んでいるようだ。
■ 眠りを身体を休めること、という認識でとらえていた。でも、「生きる」ことなのだと考えるとずいぶん積極的に考えられるような気がする。ギャラリーを出るときには、「眠れる館」が生命を増殖させる貯蔵庫のように思えてきた。
田邉晴子展―眠れる館
2000年9月16日(土)~10月7日(土)
イムラ・アート・ギャラリー
京都市左京区丸太町通川端東入
10:00~19:00(日・祝休廊)
TEL075‐761‐7372
words:原久子
1階は遊び部屋のイメージ
2階は真っ白でやや緊張します
3階に上がるらせん階段から2階をのぞいてみると
3階にはミニチュアがあったり、赤ちゃんが窓やテーブルのうえですやすや眠っています
2000-09-16 at 03:19 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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