2000/08/18
中野正貴写真展
「東京から人が消えた日」
■巨大怪獣が東京を目指して突進! 人々が逃げた後のもぬけの空となった街…そんなゴジラ映画の一場面を想像してしまった写真群。渋谷、新宿、銀座、青山、いつも混雑しているスポットに人っこひとり写っていないのだから普通は驚く。
■もちろん、写真家の中野正貴さんには怪獣映画の意図などないだろうが、人の消えた街というのは不気味でならない。いるべきものがいない空虚感だろうか。現実の風景なのにフィクションめいて見えてしまうのはなぜ? 夜中、人が少なくなるのは当然だが、日中(早朝かもしれないが)だからよけい異様にうつるのだ。いったい、いつ、どのように撮影されたのか、素朴な疑問が出てしかり。
■うっすらとしたヒントが写真(3番目)に写っている。銀座中央通りを飾る日の丸だ(見えにくいと思うが)。国旗は国民の祝日の標し、ということは元旦か?なら納得。解説によると、これら一連の写真は、1990年から11年かけて、正月、お盆などを狙って(?)撮影したものらしい。
■センター街の無人写真もあった。いつも人混みでごっちゃになっていて、街並みを眺める余裕なんてあるはずもなく、ただひたすら人をよけて前進していたところ。しかしほんとに混沌とした街だなあ。一面の写真を眺めてみれば、このかた東京に生まれて30 数年、よく知っている街のはずなのに、あたらめて気づくことも多い。奥の展示コーナーは雪一色の世界。けっこう積もっている。東京にこんな大雪が降ったのは何年くらい前だっけ…。
■会場は、壁面に大小写真を隙間無く展示しているので、ギャラリーに入った瞬間、インパクトを受けるはず。この隙間の無さが東京の町並みと重なるし、額装して見せるかしこまった展示よりいいかも。見慣れたはずの風景が走馬燈のように流れていくのを感じた。
中野正貴写真展
2000年8月18日(金)〜9月8日(金)
リトルモア・ギャラリー
東京都港区南青山3-3-24
( 銀座線「外苑前」駅、徒歩5分 )
11:00〜18:00(土日祝は〜17:00)月休
入場料200円(中学生以下無料)
問合せTEL 03-3401-1042(リトル・モア)
「Shibuya Shibuya-ku Aug.1992」
誰もいない渋谷駅前って不気味
「Aomi Koto-ku Jan.1994」
今やパレットタウンの観覧車が目印
「Ginza(7th) Chuo-ku Jan.1996」
銀座中央通り7丁目もこのとおり
「Gaienmae Minato-ku Jan.1992」
青山通りに1台も車がないなんて
会場風景。柱も写真で覆われている
窓の外にも2点ほど展示
2000-08-18 at 01:52 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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