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2000/07/04
劣性ウイング「売買人義」
「ええじゃないか」
(右)「何故何故クロック」1999 Cタイププリント、
(左)「三日月小屋論争」1999 Cタイププリント
■劣性ウイングというこのおかしなグループ名は、名前だけでも強烈に存在を印象づける。これで、作品が面白くないというと、世間の風当たりは強いだろうが、なかなか面白い。構成メンバーは小高政彦と夛胡太喜の二名(98年結成)。彼らは大学をこの春卒業した。で、片や、モラトリアム期間を引き延ばそうと沖縄の芸術大学の大学院に、片や東京で専門学校に通っている。
■彼らは写真、ビデオの作品をつくっているが、最初、まず言葉を二人で出し合っていく。すると意味はないが、ゴロのいい組み合わせの言葉がうまれてくる。その言葉をテーマに制作し、そしてタイトルとしても使う。タイトルが写真の下に大きく出ていたので、なんでこんなにキャプションが大きいのかと問うと、「これも作品の一部だから、読んでもらいたいんです」と返ってきた。
■作品には、いろんな役柄に扮して自らが登場している。写真の作品では、その1コマと、タイトルから、さまざまな想像ができて、ついつい笑えてしまう。今回は、大阪にいた頃につくった作品と、沖縄で制作した作品の両方がいっしょに並んでいる。住む場所が変わったことで、作品に影響が出るような変化はないと彼らは言うが、心無しか、さらにノーテンキさが炸裂しているようにみえた。
■ビデオ作品も、タイトルが先にあって、場所と衣装だけ決めて、いきなり撮影をはじめるという。撮りっぱなしのノー編集。首里城をバックに蝶ネクタイをした二人が、手拍子とともに「ないものねだり」と声をそろえてはじめ、一人ずつゲームのように、勝手きままなことを交互に言い合っていくだけ。それだけなのだが、すっかり見入ってしまう。意味のない言葉や動きを繰り返す姿。意味はないとはいうものの、隠されたアイロニーがチラチラ出てきたりして、天然のセンスの良さがあるように思える。
■遠く離れてしまったので、活動を続けるのに支障はないかときくと、これから10年はとりあえず続けてみたいと言う。かなりの決心をして、さらけ出した作品なのだな、と改めて会場の作品をぐるりと見回した。テーブルのうえにファンクラブの入会申し込み書があったので、1000円を支払って入会した。作品のポストカードが7枚もおまけにもらえて、得をした気分になった。水色の会員書には、表面に「パステルホリックの書 劣性ウイング 劣等生公式認定書」とあり、裏には署名欄の下に「上記の者、本証明書をもって劣等生と認定する。 劣性ウイング 小高政彦 夛胡太喜」。これで晴れて私も劣等生と認定されたのであった。
劣性ウイング 「売買人義」
2000年7月4日(火)~11日(火)
セルフ・ソウ アートギャラリー(大阪)
「マーメイドセンサー」1999 Cタイププリント
「家事・手伝い・義兄弟」2000 Cタイププリント、これは沖縄で制作したもの
アートグッズも販売されていた。ビンは「原液 女子中生」。短冊には川柳ともなんともつかない歌が詠まれている「ミラーボールを一人で眺む 洗剤まみれのシマウカか/劣性ウイング」・・・。
ビデオ作品「ないものねだり」。ビデオ作品をつくるときにはマングースシアター制作とクレジットされる。でも、出演者は、劣性ウイングと書いてある。メンバーは同じ二人。
2000-07-04 at 11:29 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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