« キュピキュピ | メイン | 劣性ウイング「売買人義」 »
2000/07/03
坂本佳子展
「素材マジック」
「the scenery seen from car window,3」
■「抜けるようなパースペクティブ絵画」。坂本佳子さんの作品を初めて見た時に思い浮かんだセンテンスがこれ。視線を画面の中央に走らせるパースペクティブな感覚がとても心地よかった。彼女はずっとこんな風景を描いている。
■今回、「京橋界隈」という、20画廊が展覧会を同時に開催するイベントで個展(白銅てい画廊にて)を開催していた。画廊に入った瞬間、以前より一層色彩が明るくなっているのを感じた。作品はどれも布、ニット地、粘土といった素材をメインに使って描かれている。いや、描くというより、貼る、かぶせるという感じに近い。彼女が目指しているのは、「素材としての物質そのものと風景の空間・世界とを同時に往来できるような画面づくり」ということだが、作品と距離をとったり、近づいたりすることで、空間性と素材感のクロスオーバーを体験できた。
■作品を見ていこう。入り口から入って右側の壁面には3点の作品がかかっていた。真ん中の作品(2-02)は、ピンクなどキュートな色彩を組み合わせて上下2層の画面を構成。青いポリエステル生地ですっぽりと覆っているが、下が透けていてプールの中のようなイメージ。(2-03)は、赤、黒、白、黄と原色ですっきりとした風景。よく見ると、画面下方に黄色いフィルムがかかっていて、赤は赤のままだが、白い布地は黄色に、紺色は黒になって見えているのだ。うーん、色彩マジック!! その巧妙な素材の使い方にはほんと感心してしまう。
■以前、彼女は「生地屋に行って景色が見えてくるような布を探します。1枚の布の中でも空間になっているものや同じ水玉でも立体的平面的なものなど様々で、布が私を呼ぶというか…。私にとっては布地選びも描くのと同じ次元なんです」と語ってくれたことがあった。残念ながら展覧会は終わってしまったが、とにかくセンスのいい独特の絵画なので、機会があったらぜひ!
坂本佳子展
2000年7月3日(月)〜7月19日(水)
白銅てい画廊
東京都中央区京橋1-9-5 白銅ていビル1F
11:00〜18:00(無休)
入場無料
TEL 03-3567-0288
「the scenery seen from car window,2」
会場風景。正面に見えるのは大作「・・・ー・ー・・」
「the scenery seen from car window,4」
「the scenery seen from car window,5」
「Lourmarln」
2000-07-03 at 11:22 午後 in 展覧会レポート | Permalink
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d014e88e74cbe970d
Listed below are links to weblogs that reference 坂本佳子展: