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2000/06/26

day off '84−ヤマギワ ノリアキ+ヤマギワ ミツヒロ展

「80'sエアー、80'sアワー」


art111_01_1左上:ヤマギワミツヒロ「kvinna」、
右下:ノリアキ+ミツヒロ「airline」(以下すべて2000年)ヤマギワ家のカリスマ犬。自分を人間だと思っていたらしく、散歩や遊びでも主導権を握りたがるやんちゃ犬だったとか。この姿は、まさにフライング・ハイ……。

■ヤマギワ ミツヒロは、痛々しかったり弱々しかったりしながら、クスリと笑ってしまう、静かな“ブラック”を描く人だ。今回は兄弟での展覧会だった。

■左手には犬が中心のドリーミーな絵画が並び、右手には飛行機が墜ちるときの避難の様子を描いた絵画が展開していた。床には、墜落した飛行機という、やはりブラック落ちの作品があった。左手は兄のノリアキ、右手は弟のミツヒロ、犬の絵はふたりで描いたそうだ。機内食を楽しむビジネスマンを描いた作品もあり、陰と陽のような、幸福な日常に突如舞い降りるアクシデントといったドラマ性を感じさせる。

■今回は、いい意味で脱力気味の、映画テイストの展覧会にしてみたそうで、設定にも遊びゴコロがあった。飛行機会社名は「クール・エアライン」、モットーは「クール・サービス」(笑)。奥からはサントラのような音楽が流れている。

■飛行機パニック映画といえば'70年代だが、タイトルは'84年。最近天に召された飼い犬“わん次”が生まれた年なのだそうだ。ヤマギワ兄弟は、この頃のジョン・ヒューズ監督作「ブレックファスト・クラブ」(1985)「フェリスはある朝突然に」(1986)などがお気に入りだという。「フェリス……」は、仮病でハイスクールをサボった男の子(マシュー・ブロデリック)が、気弱な親友に父親のフェラーリを出させ、彼女を誘って3人で街へ繰り出すストーリー。大騒ぎの間に将来への不安や、家族の問題が描かれる。なかなか脳天気になれない親友がふっきれていく姿に共感させられる。

■私が中学から大学生までに、ともに過ごした'80年代アメリカ青春映画は、そんなふうだった。かたわらにはMTVがあった。青空の翳りは始まっていたが「人生を楽しもう」と歌ったり、踊っていた。ちなみにairには、空気や空のほかに、歌の意味もあるし、オンエア(放送)なんて使われかたもある。いま見るとお気楽でちょっとダサい'80年代の映画や音楽は、プラスチック色の甘いドロップ(drop)のようだ。

「day off '84」
ヤマギワ ノリアキ+ヤマギワ ミツヒロ展
2000年6月26日(月)〜7月2日(日)
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6福神ビルB1
TEL.03-3561-2205

words:白坂ゆり

art111_01_2ヤマギワノリアキ「relaxation」

art111_01_3左:ヤマギワミツヒロ「marshaller」、
右:ノリアキ+ミツヒロ「air strip」滑走路に着陸

art111_01_4ヤマギワミツヒロ「safty on boad」

art111_01_5プラモデルキットや花火の落下傘を使ったインスタントなインスタレーション

art111_01_6ヤマギワミツヒロ「for your safty」

2000-06-26 at 10:18 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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