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2000/06/26
日下部一司展
「大人な気分の作品」
(左)「black board」、(右)「表面張力」
モスグリーンは黒板塗料、赤は錆止め塗料の赤。配置のバランスが絶妙。
■「これって何だろう」と知的好奇心をチクチク刺してくるような作品というのがある。読み解いてゆくとき、次第に狭い入口が広がってゆくようでもあり小気味がよい。小さなことに気づいた瞬間に、まわりにあった記号がさっと解け出したりして、不思議な力に揺さぶられる感じだ。
■日下部一司さんの作品はまさに「これって何?」というものだ。形態はさまざまだ。版画作品もつくるし、写 真の作品もある。今回の個展はあえていうなら壁を支持体とする平面の作品群によるインスタレーションとでもいうのだろうか。
■空間の使い方のバランス感覚にもすぐれている。絵画作品を美術館などでみると、一般 的には目線の位置との関係で縦のセンターで合わせて掛けることが多い。また、それぞれの間隔も均等であったりする。しかし、日下部さんのここでの展示は、壁も一面 はまったく使わなかったり、壁の一方に寄せて掛けてあったりする。隙入る間もないほどのバランスで展示されている。
■部屋を仕切る壁も、うまく利用している。手前にある壁の作品と向こう側の壁にある作品は、関係している。ひとつひとつ独立した作品でもあり、それぞれの関係のなかから生まれてくる意味がある。
■たとえば、単独でひとつだけみていると水玉の模様は何を意味するのか、と疑問に思うが、全体に目をやるとたちまち気づくことがある。同じ水玉 の模様のスケールが異なる。それも近くが小さく、遠くが大きく、逆さのパースペクティブになっているのだ。
日下部一司展「近視眼的」
2000年6月26日(月)~7月15日(土)
サイギャラリー
大阪市中央区北浜2-1-16永和ビル6F
12:00~19:00(土曜日~17:00)無料
日曜休廊
TEL 06-6222-6881
words:原久子
タイトルは「perspective」。 手前の作品の方が小さな水玉 になっていて遠近法が逆さになっている。
「perspective」既製の水玉模様の布の表面に樹脂ワックス。
「小細工」(部分)花柄模様にこの赤の矢印はいったい…。
「絵画的」どうして絵画的なのか、やはり会場で見ないとわからないかもしれない。
「概念的」(部分)大きな格子の接点の裏側から1本ずつ画鋲の針が出ている。
2000-06-26 at 11:08 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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