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2000/06/15
空間体験:[国立国際美術館]への6人のオマージュ
「オマージュって?!」
国立国際美術館の外館。
和田みつひと「仕切り、囲まれ、見つめられる」の一部。ガラス面に黄色いシートがはられている。
■1970年の千里万博のときに建てられた国立国際美術館の建物。この建築物の空間に関与する作品がすべて新作で6人のアーティストによってつくられた。常設展示会場も含む、地上3階、地下1階の4層の空間を使っている。とくに企画展示室の2階3階部分は、この展覧会のために絵画を掛ける支持体となる仮設壁などをすっかり取り払い、建てられたときのままの姿に戻している。
■絵画や彫刻が観れる場所が美術館だと思っておられる方にはいささかショッキングな展覧会かもしれない。入口の吹き抜け空間は、外と内との微妙な位置にある「間」だが、ここを黄色いシートをガラス面に張った和田みつひと氏の作品がある。
■3階に上がると、床には長方形にラインがひかれ、その長方形の升目のなかに自動車が駐車されている。これはまさしく駐車場以外のなにものでもない。フロアの対角線上の角に展覧会カタログのコーナーが前沢知子氏によって設けられている。
■いったい何が起きているのか、狐につままれたような気分の美術愛好家の方もおられるかもしれない。しかし、真面目な思考の結果、アーティストがそれぞれの視点を提示した展覧会なのである。
■国際美術館の建物を、美術館建築として優れたものとは個人的に感じたこがないので、タイトルにある「オマージュ」というコトバがひっかかる。日本語に置き換えれば「尊敬」とか「敬愛」という意味をもつ。そういったおもいをこの空間に対してアーティストたちはもっていたのだろうか?私は確認できていないので、できれば6人それぞれに質問してみたい。
■ともあれ、6人の作品は彼らの空間のとらえ方を、追体験させてくれる興味深い展覧会だった。
空間体験:[国立国際美術館]への6人のオマージュ
2000年6月15日(木)~7月16(日)
国立国際美術館
(大阪府吹田市千里万博公園内)
平松伸之「国立国際駐車場」
まず三階にエレベーターで上がるといきなり駐車場と化した展示スペースに遭遇する。
リヴァーニ・ノイエンシュワンダー「ありふれた場所」
白い粉が床のピータイルの上に刷毛の跡のようなものを残しながら
寺内曜子「衝撃」
白い壁紙が剥がれおちるともしかして美術館の壁は実は真っ赤なの??
祐成政徳「Pilgrimage(巡礼)」
ナイロン・シートでつくられた筒に空気が送り込まれ、壁にそって丸く円筒形になっている
前沢知子「展覧会カタログ」
館内16箇所に、開館以来のカタログ類が開催時期の順に並んでいる。勿論、読むことができるようにいずれの場所にも椅子やソファが横に設置されている。
2000-06-15 at 10:02 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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