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2000/06/06
東明展“MURO”
「関係」
人がひとり腰掛けて座れるようになった3つの個室が頭の位置にある口でつながっている
■われわれのコミュニケーション手段は、ここしばらくの間にすっかり変化した。このホームページが発信されているインターネットがその最たるものだ。顔の見えない多くの人とのやりとりが可能になった。
■東さんがつくった作品もコミュニケーションの問題をはらむが、しかし、まるっきりインターネットのようなつながり方とは異なる。2人ではなく、3人の人間の関係。顔しかみえないが、生の声が聞こえる。
■木の枝で骨組みをつくり、金網を張ったうえに土を塗りこめてつくった[室(むろ)]のような、人が一人座れるだけの個室が3つ。顔の位置に四角い窓が開いていて連結している。
■換気口のような四角い穴は少しの距離の違いで、顔は遥か遠くにあるように見える。声の振動も違うので、遠近感が狂ってくる。私以外の二人が会話をしていると、二人の顔は私のほうを向くことはない。その二人の関係を客観的にみれる。見えてはいるものの、二人の関係に割り込んでいくことが難しい。
■身体を寄り添い会話を交わすのではなく、顔だけしか見えないことで、一定の距離を保つことができ、むしろそれ以外のノイズにも似た情報を避けることができる。ある種のつっこんだ会話がむしろ可能となるような関係が生まれる。
■こうした関係は、もちろん顔だけが見える穴のせいだけではない。土の香りや触感、ひんやりした空気の室に身体を包まれているからこそだし。声や音の響きも室が変えていっている。関係を変えたい相手とここで会話を交わすとなにかが変わるかもしれない。
東明展“MURO”
2000年6月6日~18日
アートスペース虹(京都)
ギャラリーの熊谷さん。お互いに顔が見えるが個別にしか見えない
こちらがアーティストの東さん。
足を伸ばして置くことができる穴。
頭上に穴が開いていて光りが入る。枝を組んで針金でしっかりとめている
2000-06-06 at 09:55 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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