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2000/04/22
ロルフ・ユリウス
「耳と目のいい関係」
「現代アートの森」入り口
■大阪市内では桜は4月の中旬には終わってしまったが、同じ大阪府下の能勢では4月 末、山桜と山ツツジが同時に花を咲かせていた。バスを降りて、山に通じる坂道をゆ っくり歩いてゆくと、ウグイスまで美声で出迎えてくれた。
■今年はじめて催される「現代アートの森」というアート・フェスティバルのこの度 のテーマは「耳を澄ます」。参加しているアーティストの一人、ドイツ人のロルフ・ ユリウス(1939年生、在ベルリン)の、サウンド・インスタレーション「森のささや き valley」を紹介したい。ユリウスは日本でも既に何度か作品発表の機会を得てい るが、今回ほど広範囲にわたる野外のサウンド・インスタレーションはかつてなかっ た。彼の作品はこのタイトルの通り、ささやきかけるような音が特徴だ。
■手渡された地図をたよりに森のなかに入ってみる。たった一人で、森を歩くのは少 し緊張する。山水の小さなせせらぎに沿って行くと、水の音が聞こえる。水の音に耳 を澄ましているうちに、さまざまな森のなかの音が聞こえてくるようになる。風の音 、枯れ葉を踏む自分の足音さえ周囲の音とひとつになりはじめる。
■しばらく行くと用意された音(CDの音源)が森の中のどこからともなく聞こえてく る。音が聞こえてくる方向を視線で追う。するといままで気にもとめていなかった風 景が目に飛び込んでくる。芽をふきはじめた木々。新緑がつくる影が風に揺れる。音 をたよりに歩いてゆくと、少しずつ目に映るものも変化してゆく。どこからともなく 作品がはじまり、ゆっくりと森を抜けると作品もフェイドアウトしていく。奥ゆかし く心にしみいる作品だった。
COMTEMPORARY ARTS IN FOREST 2000
耳を澄ます LISTEN CAREFULLY
2000年4月22日(土)~5月21日(日)
★ロルフ・ユリウス
「森のささやき Valley」
4月22日(土)~5月7日(日)
http://homepage.mac.com/forumten/
問合わせ先:
現代アートの森事務局 (担当:古谷)
大阪府豊能町牧中田20-4テンバA内
TEL/FAX.0727-39-2444
E-mail [email protected]
words:原久子
いよいよユリウスの作品に足を踏み込む
倒れた木に苔がむしていた。人が手を加えてつくったアート作品ではないのだが、森の中ではこんなものも全て新鮮なまなざしで見ることができる。
木にぶら下げられたたくさんのスピーカーが風に揺れている。
左がスペース天、
右の緑の建物がTeNBA-A。これが見えてくるとユリウスの作品 も最終地点。
TeNBA-Aで行なわれているギャラリー内でのドローイングの展示、インスタレー ションは5月21日まで。
2000-04-22 at 04:44 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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