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2000/03/01
松井智惠展
「鏡がつないでゆく」
会場風景
■8名の限られた参加者とのワークショップ「forbidden color ―色を作る」をベースにつくられたのが今回の松井智惠展だ。ワークショップはあらかじめ用意されたルールにしたがって進められていった。グリム童話の「漁師と女房」とそのなかから松井さんが選んだキーワード、色見本。これらが参加者のもとに郵送される。ワークショップ終了までに松井さんと参加者が一同に会することはない。
■物語を読み、話しの経過とともに変化していく海とその海の色を感じながら、参加者がキーワードからイメージしたものを描き、どのような色で刷るか決めて、返送する。縦軸がそれぞれの参加者、横軸に時間の経過を追った描いたもの。レイアウトは松井さんが決定して、シルクスクリーンで壁に刷る。
■展覧会はテキスト作品「forbidden wall」、インスタレーション作品「forbiddendream」、ワークショップ作品「forbidden color」の3つの作品よって構成されている。 白い壁に、松井さんが書いたテキストが直接シルクスクリーン印刷される。パール系の光る色も使い二色刷りになっていて、文字そのものが鏡のようになっていて、さらに照明があたっているので、文字を読むのは難しい。
■海の表面が鏡のようだ、とはじまる物語。表面であるのに、その表面が、実は見え難い場合がある。私たちのまえに出された作品の表面。どんどん様々なものがキーワードを中心に循環していく。別室で上映されている今年1月の大阪での個展「彼女は溶ける」のビデオとの関連も少なからずある。そのあたりは松井さん自身がかなり意図していたところだったようだ。
■ワークショップに参加した人たちは、最終的に作品のなかにとりこまれた自分たちの描いたものを、全体のなかでどのように位置付けてみたのだろう。順を追って、プロセスを聞いていくととても興味深い展覧会である。できればいつか参加した人にも、それぞれどのようにこの展覧会と対話したのか、を尋ねてみたいと思った。
松井智惠展Labour-48「彼女はうそをつく」
2000年3月1日~12日
神戸アートビレッジセンター
http://www2.osk.3web.ne.jp/~kavc/
words:原久子
展覧会まえの事前のワークショップの参加者が「色」をテーマに松井智惠さんとやりとりをした結果出てきたものが壁に刷られている。
松井智惠のドゥローイング
ワークショップがどのように行なわれたかが解説されている
2000-03-01 at 11:51 午前 in 展覧会レポート | Permalink
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