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2000/01/14
銅金裕司展
植物にも気持ちがあるんです
アルミ板が三角にならんでいて、うえにガーデニング(?)している
■神戸在住者なのだが、週の半分を東京で過ごす銅金裕司氏。これは、仕事の都合。だからなのかどうかは不明だが、関西での発表は少ない。仕事はランの栽培に関する研究とか、その流通マネジメントらしい。経歴をみていると、海洋工学も修士まで修めているし、植物学はPh.D(学術博士)まで持っている。
■その植物学の専門家である彼が、画廊や美術館で発表しているのには理由がある。彼がやりたいと思ったことを受け入れてくれるフィールドを探していたところ、「アート」という恰好の場と遭遇した。アートの周辺領域にいる人たちは、彼の思考&試行をとてもおもしろがってくれ、意気投合したからだ。
■展覧会を見に行くと、アルミ板が三角形に敷かれ植木や紙切れが飾られている。板の下になにか電気仕掛けのものがあるらしく、ケーブルがコンピュータのほうへつながっている。植物、電気…私は理科系は大の苦手で共通一次(いまでいうセンターテスト)も受験しなかった。こんな私にわかるのだろうか?という不安がよぎる。
■銅金氏はアルミ板をひいて、コンピュータをセットするところまでしか手を下していない。2日にわけて、オリエンテーションとワークショップを開いた。参加者の四人(いずれも成人)がそれぞれもってきた植物や旅の思い出を持ってきたという。造形的には、紙切れに陶器のかけらを載せたもの以外は、はっきり言わせてもらうが私のテイストではない。だけど、ひかれるものがある。
■アルミは鉱物で、土中の含有物でもあるし、植物は土に根をはっている。これらはみんなつながっている。われわれは、日常的には自分たち本意にしか植物に接していない。植物が私たちにどう反応しているのか、など目に見えないし、しゃべるわけでもないのだから、気づかない。銅金氏は、そんな植物が我々の気配などの外的要因にどんなふうに反応しているのかを、電流を通して(私たち人間にも電流が通っていたんですね。ときどきバチバチきますよね)その波形をモニターに出したり、音に置き換えたりする装置をつくって、みせてくれた。
■このスペースを運営するメンバーが、植物の変化やワークショップの様子などを話してくれる。植物の立場になっているのに気づいた。自分がこの作品に何故ひかれたかがわかったような気がした。私もそこにいる間に、いつしか少しつながっていたのが嬉しかったせいだ。頭で考えるのではなくて、別な場所で理解することが快感だったから。馬鹿げてる?!、いえいえ、そんなことありません。
銅金裕司展
2000年1月14日~2月19日
CAS
*銅金さんの作品は下記にてみることができます。
GALERIE SOL(tel.03-3203-8646 ~1月29日)
words:原久子
参加者がおいたのは、その人が掘りあてた陶器のかけら。旅行鞄をもったヒト形に切った紙。鞄のうえにかけらが載っていて。図柄が身体の胴体部分にうつされている
スケルトンの卵形のものは、「プラントーン」という銅金さんが開発したもの。植物にプラスとマイナスのクリップを挟むと音を奏でる。
植物の波形
こうやって指で葉に触れると植物が反応する。パソコンのモニター上の波形は外的要因によって変化する。
2000-01-14 at 08:58 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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