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2000/01/06

川島慶樹+リュイス・サンス展

2000年のリスタート


art95_01川島慶樹「オルテラな夢」


■バルセロナに住むリュイス・サンスと大阪に住む川島慶樹の二人。彼らは自分たちの展覧会に「EN BLANC」(スペイン語で「白」を意味する)というタイトルをつけた。互いに、これまでやってきた仕事をいったん「白」(=無)にして、無垢な気持ちでやってみたいという意欲のあらわれだったという。

■川島は、木や石、鉄、ブロンズなどを使い彫刻作品を主につくってきた。絵画も並行して描いてきたが、今回のように絵画のみを出品するということは珍しい。4枚の花びらとも葉っぱとも見える形が、彼の作品には頻繁に登場する。生命の象徴のように思えるものだ。出品作はどれも作家自身が、頭を真っ白にして心地よく仕事をしたことが伝わってきて好感がもてた。

■タイトルにある「オルテラ」ってどういう意味?耳に残る響きだ。スペインの俗語で、「悪趣味」というようなニュアンスのものらしい。川島は、だれにでもあるちょっと趣味の悪い、だけどずっと引きずっていくような感覚に、むしろ人間味を感じている。リュイスのお国でも決して悪い意味で使っているのではないらしい。

■リュイスは、子どもの頃につくった恐竜の粘土細工を型どりして、ブロンズ作品にした。前回、バルセロナで開催した大規模な個展で、すべてを出し尽くしてしまい、これからどうしていいか展望が開けなかったという。袋小路から抜け出すには、もう一度、初心にもどってリスタートするしかないと思ったのだそうだ。

■以前から「生命」をテーマにしてきたし、今回もそれには変わりはない。一所に留まらずこれからどこにでも行くことができるという可能性を信じて、自分のどんな部分も認めることからはじめようとする前向きな姿勢が、話していて私にも元気をくれた。

■リュイスはこれから10月まで日本に滞在し制作する。川島はリュイスのために制作に必要なものを貸し出したり、協力者を紹介するなど献身的だ。そして、川島のスペインでの個展のときにはリュイスが奔走してくれたという。4本の足で大地を踏みしめる恐竜、4枚の花びら(葉っぱ?)をもつ植物的なもの、それぞれの命は、ものづくりを志すもの同士をつなぐ絆と無関係ではないように感じた。

EN BLANC
川島慶樹+リュイス・サンス展
2000年1月6日(木)~15日(土)
11:00~19:00(最終日~17:00)
ギャラリー白
(大阪市北区西天満tel.06-6363-0493)


art95_02川島慶樹 左c、右「浴室の彫刻」「チャラ」とはカタルニアでは「おしゃべりな」という意味だそうだ。


art95_03川島慶樹 左「雪渓のパヤパヤ」、中「パヤパヤ」、右「チャラ」


art95_04リュイス・サンス 左から「脅えた、自分」「寂しい、自分」「いやらしい、自分」「怒った、自分」「おかしな、自分」 微妙なバランスが保たれ、ときおり揺れる。

art95_05「怒った、自分」の部分。子供の頃に粘土でつくったオブジェをかたどりブロンズにした。

2000-01-06 at 04:37 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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