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1999/12/17
伊庭靖子展
職人技とアーティストの「目」
これはキャンバスに油彩で描いた作品。
■布や果物などの細部をクローズアップ。質感のふわっとした感じや、はじけるようなみずみずしさをキャンバスに油彩でリアルに描かれた伊庭靖子の作品。近づいて見ても 、色の集積があるにはあるが、ぼんやりとしていて境目など肉眼で確認しようもない。
■今回の個展には、いつものそんなペインティング作品に加えて、彼女が描いた絵をいったん画像としてコンピュータに取り込み、3色分解して版をつくって、シルクスクリーン版画を出品している。(出品作品のうち絵画がもとになったものではなく、写真からシルクスクリーンにしたものもある)
■部分によって網点のかけかた(大小)が微妙に異なり、大きな網目のところは水玉模様のようになっている。しかし遠目には混ざり合ってひとつの色に見える。版画(印刷物)というのは、複製品として少し軽んじて見られることがあるが、絵画の作品と比べてもまったく遜色はない。というより、つややかさなどの別な魅力的がある。
■彼女自身はコンピュータについてそれほど詳しい知識をもっていたわけではなかった。アーティストである伊庭と、工房の技術(職人魂?)との二人三脚が作り出した新しい可能性をみることのできた作品だ。
■試行錯誤を重ねながら、苦労の末つくりだした新しい世界。版画の特性をいかしながら、彼女が絵画(ペインティング)ではない別のかたちで具現化させたかった「伊庭靖子の『 目』」を見せてくれた。
伊庭靖子展
1999年12月17日(金)~2000年1月20日(木)
11:00~19:00
ノマルエディション/プロジェクト・スペース
(大阪市城東区永田 tel.06ー6967ー1354)
http://www.nomart.co.jp
シルクスクリーンで版画になった作品
上の一番左の作品の紺色の部分を近づいて見るとこうなっている。車窓から撮った写真を版画にしている
最新作のペインティング作品
ノマルエディション/プロジェクト・スペースでは特製のアーティストグッズ(ポストカード、Tシャツなど)も購入できる。
1999-12-17 at 04:29 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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