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2000/01/27

クラフト・エヴィング商會プレゼンツ〈ミルリトン探偵局〉

「架空のファンタジーに酔いしれる」


■クラフト・エヴィング商會。知る人ぞ知る不思議な存在のアーティスト。といっても 、個展や出版分野で活躍中なので、けっこう有名かも。その証拠に、クラフト・エヴィ ングの展覧会へ行くと、いつも人でいっぱいだ。会場には、架空の人物がコレクション していた架空のモノを展示していたりして、とにかく知的好奇心をくすぐってくるのだ。たぶん、注意力のある人ほど、のめり込むだろう。気づいてしまった人にしか分からない「ちっちゃな幸せ」が散りばめられているから。

■実はこの展覧会、昨年暮れに開かれていた(1999年12月23〜28日)。そして今月下旬 から追加展があるということでご紹介。今回、会場に入ったらやけにさっぱりとした印象。展示が極めてシンプルだからかもしれない。上段には写真、その下には小さな額縁の作品、という2段掛けの構成で、ぐるっと壁面が覆われていた。「猫のThink(シンク )が拾ってきたモノを下段の小さな額の中にひとつずつ展示しました」という設定。その収集物は、吸いかけのゴールデン・バット、釘、クリーニング屋さんのタグ、薬のぬけがら、プルトップ、宇宙ゲームのかけら、ものすごいシナモン等々。それらを1点1点のぞき込こみながら、ふと上に視線をずらせば、ものすごく自然な風景写真(撮影:坂本真典さん)が目に飛び込んでくる。よく見かけそうな場所、でも何処なのかは分からない。シンクが行きそうな森や路地を撮ったものだという。

■「本当は、猫の目の高さに作品を展示したかったんです」と吉田浩美さん(クラフト・エヴィング商會3代目)。猫の視線はせいぜい地面から30cm。確かに人間には見にくいだろうけど、少しは猫の気持ちに近づけるかも…という思いがよぎる。すぐに吉田さんの「それで、こんな場所をつくりました」のひとこと。展示室の一角にある「FOR CATS ONLY」という、餌皿の置かれたミニコーナーがそれ。展示された額縁の位置も、もち ろん猫仕様だ。

■もうひとつ(=架空)の世界の存在を信じたくなるほど、リアリティある物語を、どう受け止めるかはその人次第。そうそう、展覧会に先駆けて『Think』という本が出版されている。著者は吉田音(1986年生まれ)。クラフト・エヴィング商會3代目(吉田篤弘・浩美)の娘となっている。真意は……もうおわかりですね。

2000年1月27日(木)〜2月8日(火)
紀伊國屋画廊
東京都新宿区新宿3-17-7紀伊國屋書店4F
TEL 03-3354-7401
10:00〜18:30(最終日〜18:00)
無休
入場無料


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展示風景。写真と小さな額縁の作品が上下に展示されている

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「水玉模様入りの枯葉」模様が可愛い! 手が込んでいることを実感

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「FOR CATS ONLY」と書かれたコーナー。猫の視線の位置に作品が

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会場風景。じっくりと見ていく人が多かった

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「銀玉鉄砲の銃弾」あったあった。なつかしのパッケージ

2000-01-27 at 08:22 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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