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1999/12/08

小河朋司展 何でもない日常—Green,Tomorrow,Door—

「スウィートな光にご用心」


■ひとめ見て、おいしそうだと思った。白い箱の端にうっすらと光る甘い光。パステル色の紫、緑、黄色、橙、ピンクが、ぼんやりと白い壁に写っている(写真6)。シュガー菓子のような色合わせが空腹にこたえる。あくまで「写っている」のであって壁に色が塗られているわけではない。ここのところが肝心。じゃ、何が写りこんでいるの? さらに奥をのぞき込みたくなるのが人情。でも作品と壁の間がせまくて、なかなか見られない。見回すと、展示のなかで一番大きな作品(写真2)は、ラッキーなことに隙間も大きめだった。

■のぞき込んでみて「え?」と驚いた。そこにはパステルな色はなく、ド派手な蛍光塗料で大胆に塗りたくった色面があったからだ。どうしてこんなに濃い色が、ボヤっとした美しいパステル色になるのだろう。できるだけ近づき壁を凝視して、虹色の光を見つめる。わからない。紫から緑、緑から黄色と色の境目がやけに美しい。ただただ不思議だ。

■実は「外部からの採光による発色」を利用しているのだ。赤い服を来ていた私が、白い壁に近づくと、確かに影の周囲にほのかな赤色が写りこんだ。影にも色があるんだ(ちょっと試してみて)。今回、外壁への反射ではなく、作品内部で反射を完結させた立体(写真3)や平面(写真5)も出品されていた。くどいようだが、色が着いている部分は実際に色が塗られていなくて、その内側の色が反射してそう見えるのだ。

■そういえば「何でもない日常」が今回の展覧会のキーワードだそうだ。確かに、
ちょいとまて(気になる)→確かめなくちゃ(のぞく)→なるほど(納得)
と、疑問から発見を自然に促す作品だと実感。なにげない日常に、小さな風穴をあけられた人も結構いるのではないだろうか。余談だが、作家の小河朋司さんは大の甘党。作品が発するスウィートな光と大いに関係があるのかも! 甘いものを食べて幸せになれる人なら、きっと共感できる作品じゃないかな……

1999年9月8日(水)〜10月11日(月)
za Gallery
江東区有明3-1 WANZA ARIAKE BAY MALL 2F
tel.03-5530-5711
10:00〜19:30
入場無料、無休

words:斎藤博美

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「C・K・P (pin)」最小の作品ピンバッヂ1個2500円なり

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「color tint -door-」ギャラリーのコーナーに設置された作品

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「RESONANCE」立体では四面が楽しめる

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「ギャラリー外観」ガラスケースの中には、設計図面が作品として展示されている

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「C-T-D- クローバー4」平面作品も発表

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「color tint -corner-」こちらもコーナーを使った作品。虹色の光が美しい

1999-12-08 at 09:23 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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