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1999/12/01

小川健一展

「ネオアコなパンツ」


art92_01「パンツ」展示風景。白い壁にたくさんの凹凸が。


■白い壁にたくさんのパンツの作品がデコボコと掛けられていた。小川さんの個展を見てから、ふとパンツのことを考える日々。タンスの引き出しからパンツを選ぶ時や、洗濯物を干しながらはもちろん、空を眺めながら自転車を漕いでいたら、白い雲がパンツの群れに見えて、自分にクラッと来た。

■'69年愛知県生まれの小川さんは、今秋ドイツのケルンで行われた、日本の現代アートを紹介する展覧会「TOKYO SHOCK」に出品していた一人。初めて作品を見た。

■発砲スチロールにストライプ柄などの布を貼り、パンツの形が出るように、周囲を白のアクリルで消していく。パンツをモチーフにして7年。最初はキャンバスに描き、今の手法での四角い平面から、丸い立体へと変わってきたそうだ。丸さはお尻かと思ったら、小川さんは「作品(パンツ)のための場所(環境)で、布のイメージで形を変えている」と言う。さらに、布の質感を壊さないよう、カラーの布は裏返しで見せ、下に厚めの白い生地が貼ってあるので、ソフトな印象。小花や水玉模様って、垢抜けなくも、ひそやかに大人の女の子ゴコロをくすぐる永遠の柄だ。白地など、ユニセックスなのもある。丸い立体の中でのパンツの在り方が奥ゆかしく、そこはかとなくエッチでキュート。レースフリフリの高そうな“パンティ”はない(笑)。布の質感が彼には違うんだろう。

■人が「パンツ」と聞いて抱く思いも様々なのが、パンツをつくるひとつの要因でもあるそうだ。アダムとイブのいちじくの葉に始まる、隠すことや恥じらい。思春期から、だんだん小さいパンツを履く気持ち。勝負パンツとか、今日は事故に絶対遭えないパンツとか(笑)。とても個人的でいて普遍的だ。パンツの空間は、それぞれが人のようでもあり、風景や宇宙のようにも見える。人が持つちょっとアホなおかしさと可愛いらしさがほんわり漂う、ネオアコ(アコースティック感覚のポップな音楽)な居心地の良さ。パンツに囲まれて、温かい気持ちになる自分も微笑ましいゾ。だって、パンツなんだもん。美術っていいなぁ。

小川健一展
1999年12月1日(水)〜12月25日(土)
KENJI TAKI GALLERY
東京都新宿区西新宿3-18-2-102
京王新線初台駅より徒歩5分
(オペラシティ右側山手通りを直進、バス操車場を右折。水道道路沿い、西新宿小学校前)
TEL03-3378-6051
13:00〜19:00 日月祝休
入場料無料

words:白坂ゆり

art92_02その中のひとつ。布に惹かれ、つい近づいてまじまじと見てしまう。

art92_03小さいサイズやお皿(凹)型のもの、台座に置かれたものもある。ほんとは床置きもしたかったそうだ。

art92_04「シャツ」子熊と花柄。布のイメージでこの形になったそう。


art92_05「カレー鼻」カレー粉でできた鼻。「匂い」と「鼻」を直結してひとつの立体で表している。他にオブジェやペインティングなどもあり、発展の仕方が軽やかな印象を受けた。

1999-12-01 at 03:52 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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