« Vol.16 スメリー (smelly) | メイン | 小川健一展 »

1999/11/27

桜屋 個展

「視野をひろげていかなくっちゃ」


art91_s01ゴーン氏の関連記事をうつして石を彫る


■「世紀末の戦士碑 1999 ノック&ゴーン」と書かれた案内をもらったとき、とても気になった。実のところ、「ノック・アウト」の「ノック」と、ボクシングなどの格闘技の合図のゴングを「ゴーン」とかけたのだと思っていた。でも、それはひどい勘違いだった。

■カルロス・ゴーンといえば、自動車メーカーの再建の鍵を握る人物。かたや、国会議員を経て、大阪府知事になった横山ノックは、ハレンチ事件騒動を起こしている。この2人をモチーフとして、新聞の見出しなどを石に彫って作品をつくっている。

■どちらも確かに新聞で頻繁に取り上げられ、世間を賑わしている。ゴーン氏の采配しだいで、日産の社員も関連企業も、明日を左右されている。横山知事の問題も、立場のある人だけに、ちょっとしたセクハラ事件として見過ごすわけにはいかない。だが、真実はわからない。世間を賑わしてはいるが、とてもドメスティックな問題だ。そして、この二つが同じ次元で語られることにも疑問がわく。

■この時期の出品作品としては意味があるかもしれない。だが、この作品を数年後にみたときに、世紀末の戦士と言い切っていいかどうかは難しい。社会で起こって出来事などを、美術を通して語ることは大切だ。しかし、表層的にしかとらえることが出来ないのなら、もうちょっと視野を広げてからにしたほうがいい。

■若い桜屋さんだからこそ、ちょっと辛口に書いてしまった。せっかく横山ノックをもってきたのなら、笑いのエッセンスを、もう少し濃いめに振りかけても良かったかな。組み合わせによっては、同じモチーフでも違う意味をもったようにも思った。

1999―ノック&ゴーン―桜屋 個展
1999年11月27日~12月10日
211号室サロン
tel.078-331-0602
(神戸市中央区山本通3-19-8 CAP HOUSE内)


art91_s02横山ノックが左側に

art91_s03「不戦パイ/姉妹品、ピーチパイも、おいしい」ではちょっと笑えない

art91_s04新聞には毎日のようにさまざまな見出しで登場する

art91_s05作家の知人がじっくり石のあつかいをみる

1999-11-27 at 03:46 午後 in 展覧会レポート | Permalink

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d015432c74e54970c

Listed below are links to weblogs that reference 桜屋 個展:

コメント