1999/10/12
LIBRARY'99 三浦務展
「くつろぎ空間を演出」
■確かに、タイトルのとおり、ギャラリーが図書室になっていた。円形の特徴的空間を持つ展示室に、再現されたミニ図書室の内容を軽く説明しよう。本棚に並べてあるのはすべて児童図書。仕切りの向こう側にはテーブルと椅子。そしてクッション付きソファもある。さらに奥にはセミダブルベッドが…。
■ギャラリーと図書室の合体、そして図書室と生活空間の合体という、ダブルの合体は、図書室を介したギャラリーと生活空間の合体ともとれる。そのココロは…日常と非日常、プライベートと公共空間の橋渡しなのである。
■本棚の児童図書を閲覧して、子供の頃に読んだ懐かしの本を何冊も発見。日本の神話シリーズ、ファーブル昆虫記、偉人の伝記等々、本は新しいものだが、昔から定番のものが多く、内容的には自分が子供の頃とあまり変わっていないような印象を受けた。さすがに『ポルシェ 自動車を愛しすぎた男』という伝記は当時は見かけなかったけれど。願わくば、時間の許すかぎり、ソファに身を沈めて絵本を眺めたい、などと思ってしまう。
■実際、椅子やベッドに腰掛けて読書する観客(大人)が結構いるらしい。児童図書という小道具が、つい、心と体をくつろがせてしまうのだろう。果たして、「今日、移動図書館に行ったよ」となるか「ギャラリーに行ったら絵本を展示していた」となるのか、とらえ方はその人次第だけれど、どちらにしても作家の手中にハマッたことになる。なぜなら、アートとは何なのか、を少なからず誘発させる、アートと社会のトランスファー的な作品だからだ。それが私にとっては発見であり面白いなと思った。
1999年10月12日(火)〜11月2日(火)
ギャラリー日鉱
東京都港区虎ノ門2-10-1
TEL 03-5573-6644
10:30〜18:00
日曜休館・入場無料
児童図書の並ぶ本棚
テーブルと椅子のあるくつろぎ空間
さりげなく展示されたセミダブルベッド
本は多ジャンルにわたっている
左は会場風景
1999-10-12 at 10:48 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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