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1999/10/14

気配-展

「秋の夜長を愉しむ方法


art85_01大森裕美子「MaCal's6420-01-99,02-99,03-99」1999年

■移転記念展は大森裕美子・福岡道雄・松井智恵・村岡三郎という、なかなか渋めのアーティストのセレクトであった。「気配」という意味深長なテーマを意識して、作品をみながら、「ああ、なるほど」と勝手に作品の意図を読み取りつつ歩く。

■大森さんの作品はいったい何が描かれているのかと、じっと見ていると洋服の型紙のようだった。確かめてみると、バービー人形の洋服の型紙だという。人形が身に着ける服の、さらに原形になるもの。松井さんの大きな丸鋸の刃についた丸い沢山の鏡。作品を見ている自分の姿を否応無く見なくてはならない。福岡さんの真っ黒な画面には小さな白い文字が連なっている。「何もすることがない」と繰り返されている。そして、ときおり、書いているときの感情が文字となって混じる。行間に福岡さんの気配が潜んでいそうだ。

■見て歩くことが仕事になってしまうと、ゆっくりと作品を愉しむというよりは、面白そうな作品がないか、せっかちに探す作業に陥ってしまうことがある。これは間違った作品との触れあい方にほかならない。急に秋らしくなってきて、展覧会もアートイベントも盛り沢山な街。とは言え、7時にはほとんどの画廊は店を閉める。興味深い作品と出合えた日には、余韻を愉しむこともおすすめしたい。

■このところ大阪は画廊やアートスポットの新装開店ラッシュである。オルタナティブスペース「workroom」のなかに-気配-展を催しているSAIギャラリーは併設されている。workroom内の午後11時までやっているカフェはアイデアル・コピーが空間デザインを手がけている。本棚から面白そうな本をみつけて、本を読みながらゆっくりコーヒーを飲むのもいいだろう。土佐堀川を隔てて、煉瓦づくりの中央公会堂や美術館を望みながら見る大阪の夜景は一味違ったものである。

●移転記念展ー気配ー 大森裕美子・福岡道雄・松井智恵・村岡三郎
SAIギャラリー
(大阪市北区北浜2-1-16 永和ビル6F  tel. 06-6222-6881)
1999年10月14日(木)~11月13日(土)
12:00~19:00(土曜日17:00)
休廊=日曜日、祝日

art85_02


「MaCal's03-99」部分

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松井智恵作品「Labour-4.6」1999年

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福岡道雄「何もすることがない」1999年

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「何もすることがない」部分

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ギャラリーに隣接するカフェ内

1999-10-14 at 10:32 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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