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1999/10/03

立川国際芸術祭'99

「アートが街に出るとき」


art88_07熊文韻(ション・ウエイユン、中国)「流動彩虹」旗によるインスタレーション。:グランデュオ外壁〜立川南口商店街


■街なかで行われるアート・プロジェクトが増えている。アジア諸国を中心に11カ国48作家及び団体が、立川駅からモノレールの各駅、公園などに作品を設置した芸術祭が開かれている。私の歩いた印象は、街になじんでいる作品と異化効果を発揮している作品のメリハリだ。

■笠原出さんの「SMILE(GHOST)」バルーン、中村哲也さんの巨大な馬の彫刻「螺王」、田代悦之さんの溶けたバイクは、駅ビル「グランデュオ」に溶け込んでいた。日常にまんまと入り込んで、ちょっと不気味。熊文韻さんの商店街の旗も気づきにくいが、かなり広範囲で、ひるがえる姿は鮮やかだ。

■日常的ではない(ホントは日常にあるが)異化効果を放っていたのは、駅に貼り出されたアラーキーのポラロイド。そして今回、中国の写真とビデオ作品が数多く出色だが、そのどちらのヌードの作品にもクレームがあったという。徐震さんのビデオは、自分の体の匂いを嗅いで自分を意識し、お互いの匂いを嗅いで他人を意識するというもの。性的なものではないという説明がされている。

■折元立身さん率いる30人の「パン人間」パフォーマンスを追跡し、チラシも配った。最初は少し怖がられるが、電車内でお客と話したり、中にはパンを分け与えるパフォーマーもいて、喜ばれる光景も目撃できた。

■その後、モノレール駅を1周した。夜の街は、暗闇の中で大型スーパーのネオンやクルマの展示場の光が人工的に輝いている。駅のウインドウに展示された崔正化さんの口の中の写真はグロテスク。毎日通う人には、あまりいい気分ではないかも。でも、口の中はもうひとつの顔でもあり、その歯の治療跡で遺族が見分けられたりすることもあるわけで……。この作品の反応はどうかな。美術館やギャラリーでは、アートを見る観客の意識に、作品はある意味守られていると思う。不特定多数の人々の目にさらされた時、シャットアウトされる寂しさを感じることもある。

■立川駅に戻ると真っ暗な中で、いけだみつひろさんの虹色の作品がやけに美しかった。そうそう今回のテーマは「LOVE」。挑戦的な作品にも、愛がある。心をざわめかせる愛もある。もっと広く受け入れられるには、どんどん外に出なくちゃならないんだろう。

立川国際芸術祭'99
1999年10月3日(日)〜11月23日(祝)
※国際美術展11月2日(火)〜11月23日(祝)
JR立川駅〜モノレール各駅〜スタジオ食堂ほか
※ルミネ立川6F「WILL PLAZA」にてマップを配付。
(JR中央線 東京駅〜立川駅 約45分)
事務局(スペース・エヌズ)
tel.042-524-0477
時間・休は場所により異なる


※11月14日(日)3:00PM〜立川駅にて「幻聴音楽会」
23日(火)3:00PM〜アミュー立川にてケリー・デイビスの音楽パフォーマンス


art88_08徐震(シュー・ジェン、中国)「体の中から」:ルミネ1Fマグノリアホール

art88_09折元立身「パン人間」パフォーマンス。着物の彼女は参加者の一人。モノレールにも乗り込んだ。

art88_10崔正化(チェ・ジョンファ、韓国)「Love」:モノレール砂川七番駅


art88_11イチハラヒロコ「『だまれ』『あやまれ』1999バッジ」:モノレール立川北駅の自動販売機で販売。1個300円で購入した。高校などで流行ったら楽しいけどなぁ

art88_12いけだみつひろ「Fenceless」:立川駅南口エレベーター

1999-10-03 at 11:17 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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