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1999/10/01
石原友明展 わたしとその背後
「14年めのセルフポートレイト」
展示風景。奥に細長い部屋であったことがむしろ効果的な展示につながった
■昨年、栃木県立美術館で「石原友明展」が催された。30歳代の作家が公立美術館で個展をやるのは、その規模やもろもろのことからいっても容易なことではない。大回顧展という感じで、カタログはこれまでの石原作品をほとんど網羅し、レゾネのように仕上がっていたと聞いている。(自称石原ファン歴14年といいつつ、残念ながら、見逃してしまい涙をのんだ。)朗報は、石原が久しぶりに地元関西で個展をしていること。
■出品しているのはセルフポートレイトのシリーズ。どの作品も、中心に写った石原自身の顔には、フォーカスが合っていない。口を両側から指で開いている形相。鼻の穴に指を入れるしぐさ。叫ぶ顔。誰にむかってその行為は行なわれているのか。鏡のなか、あるいはファインダーのなかの自分自身。その視点こそ石原のものにほかならないのか?
■美術館の展示室内部で撮った新作は、壁に展示された絵画のなかのさまざまな視線のベクトルが飛んでいて、見るものと、見られるものの関係が、一つの作品のなかでも交錯する。何かを見上げている真剣なまなざし、その背後の壁には石原の視線は受けていない絵画がある。
■カメラに向かう石原の視線。石原の背後にある絵画のなかのたくさんの要素。美術館の展示室で、それが展示されることで、視線がさらに重なり合っていく。この石原作品がかけられる壁。観者からの視線。作品と作品の間の関係。たった5点しかかかっていない展示室のなかで、一作品ずつみた後、部屋の真ん中に立って、あっちの作品、こっちの作品と視線を移してみる。(ちょっと、クラクラしてしまうが…。)
■2階の第3室に85年の懐かしいモノクロ作品をみつけた。このタイプのセルフポートレイトのシリーズは、この頃からあったのだということを思い出した。とても個人的な思い出で恐縮だが、モノクロ作品を初出した「ラデカルな意志のスマイル」という三人展(石原友明・木村浩・森村泰昌)には、私の靴がモティーフとなった作品があったのである。(失礼しました!)
石原友明展 わたしとその背後
1999年10月1日~17日
10:00~17:00(入館は~16:30)
水曜休館
西宮市大谷記念美術館
(西宮市中浜町4-38 tel.0798-33-0164)
阪神電車「香櫨園」駅下車6分
有料!
口を両手で開くソフトフォーカスのポートレイト
美術館での光景か。見上げるまなざし
(部分)絵のなかの人々の視線は各々バラバラ
1985年のモノクロバージョン。植物園の温室を背に。
1999-10-01 at 10:40 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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