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1999/10/30

梅本和之展

「メチャ明るい花畑でたたずみたい」


■メタルアートミュージアムは、その名のとおりメタル(金属)を素材にした作家の企画展を、開館以来、コンスタントに開催してきた美術館。こじんまりとした小さな美術館で、都心から少々時間はかかるが、佐倉市立美術館と比較的近いため(車で約20分)、セットで訪れることにしている。ちなみに京成佐倉駅の近くには国立歴史民俗博物館があるし、川村記念美術館もそう遠くないので、1日かけて佐倉で美術散策というのもおすすめだ。

■メタルアートミュージアムは、その名のとおりメタル(金属)を素材にした作家の企画展を、開館以来、コンスタントに開催してきた美術館。こじんまりとした小さな美術館で、都心から少々時間はかかるが、佐倉市立美術館と比較的近いため(車で約20分)、セットで訪れることにしている。ちなみに京成佐倉駅の近くには国立歴史民俗博物館があるし、川村記念美術館もそう遠くないので、1日かけて佐倉で美術散策というのもおすすめだ。
■梅本和之は画家である。ゆえに11月上旬、ミュージアムから案内DMが届いた時「メタルじゃない!」と驚いた。過去、同館では様々なジャンルの作品展を行ってきたが、必ずどこかしらにメタルを使った作品の陳列があったからだ。梅本和之展が壁面での展覧会であることを知ったのは、美術館を訪れる直前だった。聞けば、同館で初の絵画展だという。大塚智嗣展(10月30日〜11月21日)と併催されており、展示室は大塚さんの作品が占有。こちらは黒い漆をコーティングした、クールでいて温かみのある作品が並んでいた。丸い窪みと膨らみを規則正しく配置したレリーフ状のものなど、光を美しく際だたせる形態の作品が、静謐さをかもしだしていた。

■さて、梅本和之展。彼は中庭に面した美術館の壁一面を使っていた。赤から黄色のグラデーションをした花が一面に描いてある。とにかく目立つ。青空に映える。例えていうなら、満開の桜を眺めた時の感動と夏の夜にスパッと上がった花火の印象を、足して2で割ったような感じ。爽快感を与えるこのビビットな花畑を、いつまでも眺めていたい気分になる。壁面は高さ7.2メートル、幅21メートルと巨大。3月から美術館内のトレーラーハウスに週末泊まりこんで、夏期はずっと滞在して描きまくった。10月26日からは足場を組んで、パネル92枚を設置。制作から8ケ月を経てようやく完成したという。

■梅本さんの絵には、必ずといっていいほど、のっぺらぼうの人物(作家自身だそうだ)が登場する。今回も花畑の至る所にいろいろなシチュエーションの人物が上半身を覗かせている。のっぺらぼうだけれど表情があり、アイスキャンディーをなめていたり、カエルに驚いていたりと楽しい。そういえば、彼の今までの仕事はもっと暗めだった。重厚な風景の中でのっぺらぼうの人物が、考え、笑い、たたずむ姿は、自己の内面を突くような印象を与え、それはそれで私は好きだったけれど、今回の明るい展開もまたいい感じだ。「以前よりも気持ち的に明るくなったんでしょうか?」と聞くと「きっとそうなんでしょうね」という答えが返ってきた。絵は作家自身を表すもの、に相違なし。

1999年10月30日(土)〜12月23日(木)
メタルアートミュージアムHIKARINOTANI千葉県印旛沼郡印旛村吉高2465
TEL 0476-98-3151
開館時間10:00〜17:00
月曜休館
入館料500円


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遠くからもよく見えるビッグな壁面

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お花畑のあちこちにユニークな人物がたたずんでいる

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壁面の面した美術館庭園

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館内で併催されていた大塚智嗣展

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螺鈿細工を施した大塚智嗣作品。機関車が走る漆のテーブルは感動もの

1999-10-30 at 11:38 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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