« Vol.15 きむらとしろうじんじん(Kimuratoshirojinjin) | メイン | 梅本和之展 »

1999/10/30

山口隆/枯山水+Digital Garden

「デジタルとお寺の遭遇」


art87_06「透静庵」を本堂縁側からみたときはガラスの箱にみえる


■京都市の北に後水皇上皇をまつった霊源寺はある。380年以上の歴史をもつその寺に、昨年、山口隆(建築家)が設計した庫裏「透静庵(とうせいあん)」ができた。地下2層構造の建物は、地上部分は胸より低い位置までしかなく。ガラス張りの直方体が、庭からせり出しているように見える。

■ガラスと白い大理石が基調となってできた建物は、必要な部分以外は排除されたミニマルなつくりだ。ベースのフロアの中庭から天空を仰ぐと、四角く切り取られた空と、四面の壁に映し出された空がつながる。写真家の田原桂一は「壁が写真でいう印画紙の役割をしている」と表現したそうだ。

■地下なので窓がない。自然の光はすべて天井からふりそそぐ。視線は自ずから上を向く。日常にはない身体感覚を体験する。地下なのだが閉塞感がないのが心地よかった。

■霊源寺の庭園は枯山水になっている。季節や時間の経過を、そこに居ながらにして感じることのできる日本庭園に、山口は興味をもっていたという。「透静庵」も枯山水をイメージしてつくったものだ。

■夕刻、すっかり日が落ちてから、パフォーマンスがはじまった。庭の白い玉砂利のうえに映像を投影し、リアルタイムで屋外に映し出されたその映像を撮影し、本堂の床の間にプロジェクションするという試みだった。視線の「ねじれ」をテーマにした山口は、数百年という時間軸までねじってしまおうとしたようだ。

●Go'99展覧会
1999年10月30日~11月7日
15:00~20:30
入場料 500円
清涼山霊源寺
(京都市北区 市バス「西賀茂車庫」下車五分)
tel.075-491-7975
*11/3、6、7は17:00からメディア・パフォーマンスが行われる。


art87_07


本堂と「透静庵」の位置関係はこんな感じ

art87_08


「透静庵」内部から天井を見上げると

art87_09


白い玉砂利に投影されたデジタル・ガーデンの映像

1999-10-30 at 10:57 午後 in 展覧会レポート | Permalink

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d015432c74e60970c

Listed below are links to weblogs that reference 山口隆/枯山水+Digital Garden:

コメント