« 宇津木 彩展 | メイン | 風間サチコ展 »

1999/07/31

FLOW展

「祝・開店!」


art77_01会場風景(正面は喜多順子作品)


■地下鉄に乗っていると不景気な話と病気の話が耳に入ってくることが多い。ここ数年、世の景気の動向を反映してか、大阪でもいくつかの画廊が店を閉じた。とはいうものの、一方で若いオーナーが運営する画廊のオープンも相次ぎ、意欲的な展開をしている。

■新しい画廊「Kodama」がオープンした。地下鉄「本町」駅から徒歩すぐという絶好のローケーション。高い天井に、白い壁、外に向かって大きな窓があり、広々とした空間だ。オーナーの児玉公義は弱冠30歳、ニューヨークと日本を行き来しながら美術作品のディーリングをしている。(同名の画廊が大阪に以前あったため、一部では混同されているようだが、まったく無関係。)

■Kodamaのオープンを飾るワン・ナイト・エキシビション「FLOW」は、伊藤存、喜多順子、中川トラヲ、武川直也の4人のタブローによるものだった。皆そろって、これからを期待される若いアーティストだ。伊藤、中川はオン・サンデーズで9月から11月まで連続して行われる「ドーナッツ展」に出品予定。喜多はTAMA VIVANT(多摩美術大学の学生が企画する今年で16回目の展覧会。)に出品する。

■おそらく大阪の画廊に、一晩だけのショーのためにこれだけの人数が来場したことはなかったのではないか。後日、年配のコレクターの人と雑談していたら「見たことのない人たち、それも若い人ばかりで驚きました」と目を丸くされていた。

■大阪でコンテンポラリーを扱う画廊の多くは貸画廊で、画廊に立ち寄る面子は顔見知りがほとんどという状況が、なんとなく当り前になっていた。情報誌を片手に現われる美大生らしき若者がそれに加わるくらいがせいぜいだ。「だれでもピカソ」というテレビ番組が放映されている。視聴率は悪くないのか番組は続いている。しかし、公共の電波にのってそれなりに露出していても、実際に画廊を訪れる人の数に大きく影響をしていることはなさそうだ。

■オーナーの児玉氏もこの来客の多さに驚いていた様子だった。これは嬉しいことだと思う。口コミで集まった人たちだったのだろう。20歳代の若いアーティストたちの作品で、元気にスタートしたこの生まれたての画廊は、これから本格的に始動する。新作インスタレーションによるやなぎみわの個展が、9月25日からはじまる。きっと他の画廊とは、異なるタイプの鑑賞者が訪れるに違いない。新しい動きの予兆をみせてくれることだろう。

「FLOW」展
1999年7月31日(土)
Kodama
大阪市中央区備後町4-2-1
tel.06-4707-8872


art77_02


(左)中川トラヲ作品(右)伊藤存作品

art77_03


武川直也作品

1999-07-31 at 11:11 午後 in 展覧会レポート | Permalink

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d014e88e74c54970d

Listed below are links to weblogs that reference FLOW展:

コメント