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1999/07/25

楡木令子展 私の出会った人達—Beyond the History

「作品と場所のイイ関係」


■西武池袋線、池袋駅から急行で50分。飯能駅に着いて、そこから「間野黒指」行きのバスに乗り35分ゆられて終点で下車。てくてくと10分ほど坂を進んで、ようやく1軒の民家にたどりついた。楡木令子さんの個展がここで開催されているという。築100年の雰囲気ある民家の2階が会場らしい。わくわくしなが らやや急な階段を踏みしめて登る。実をいうと、楡木さんの作品は過去に見たことがあった。その時は白い壁の展示室に大きな入れ物のようなオブジェと、天井から吊り下げられた絵画が配置され、空間全体がひとつの作品となっていた。今回はどんな展開なのだろう。

■会場に入って感嘆した。太くてしっかりとした梁が通り、四隅のドアが開かれた明るく開放的な展示室。すべすべした茶色の床の上空に、楡木さんの作品は漂っていた。和紙にドローイングで描かれた何枚もの絵が天井から吊られ、ときおり吹き込んでくる風に揺られて、静かに呼吸していたのだ。

■描かれているのは、こんもりとした木々の山。ドアから外を眺めれば、同じように豊かな緑の山々が目にとびこんできた。景色とモチーフをシンクロさせて楽しみながら、ゆっくり息を吸い込んだ。吊られた作品は1点ずつでも独立しているが、数枚で1つの大きな絵にもなっている。作品と場所の極上の関係ができあがっていた。あまりの心地よさに眠気を誘われてしまうほどだった。

■荒廃していた民家を、ギャラリースペース付きの住居に変身させたのは、オーナーの捧公志朗さん。ディレクターとして年に1度のサイクルで展覧会をプロデュースしてきた。楡木展は4回目。この特異で魅力的なスペースに惹かれた常連さん達が、この日も訪れていた。 

1999年7月25日(日)〜10月17日(日)
※土日のみオープン
オーネ・マノクロザス
埼玉県飯能市上直竹上分209
TEL&FAX 0429-77-3298
※楡木令子展のリーフレットを制作予定
 興味のある方はオーネ・マノクロザスまで

words:斎藤博美

art86_01会場風景


art86_02ドローイング作品のアップ


art86_03作品はこのように天井から吊られている


art86_04天窓から光が差し込む別室の展示室


art86_05ひび割れた土壁がイイ味を出している

1999-07-25 at 10:43 午前 in 展覧会レポート | Permalink

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