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1999/06/25
PHスタジオ「White Ghost」展
「光の束が町をつくっていた」
会場風景
■「White Ghost」は直訳すれば「白い幽霊」。奇妙な展覧会タイトルに興味をもった。光をプリズムで分解する。YCM(黄青赤)の3つの光を、逆に今度は一つにすると光は白(透明)の束になる、という説のもとにコンセプトが展開されている。PHスタジオは、都市は光の薄い膜で覆われていると考える。(ちなみにYCM3つの「色」を合わせると「黒」になるのは周知のこと。)
■「新見家とその周辺の変遷」(新見家=展覧会の開かれているカノーヴァンのオーナー新見さんの実家であり、現在の画廊の場所)が作品になっている。移りゆく時代のなかで、都市の風景はどのような変化を繰り返していったかが、ひとつの空間のなかに描きだされていた。昭和20年以前、昭和30年代、そして現在。この土地で長年暮らしてきた人の記憶をたどりながら、町の様子(地図)を重ねていったドローイングや写真、近所の住人の証言ヴィデオ、現在の風景で構成されている。
■都市は元来とても複雑な構造だ。そんな都市を解きほぐしてみてみたい、というのが彼らPHスタジオの考えでもある。或る町をとりまく現在の風景、さまざまな人の記憶。「記憶は現在に属しているが、記録は過去のものになる。…古い街も今の街にキイテ(影響して)いる。」という池田氏(PHスタジオ)の言葉が耳に残る。
■白い展示作品の向こうに見える窓の外の実際の風景に、ヴィデオから流れる住人たちの記憶(肉声)が被さって、そこには(実際には)ない過去が浮かび上がるように、見えてきた。初めて訪れた町の、本当には見えていない知らない風景が、網膜に映ってみえた(気がした)。
●PH スタジオ「White Ghost」展
会期:1999年6月25日~7月11日
会場:カノーヴァン(名古屋)
月曜休廊、火~土/11:00~20:00、
日/11:00~18:00
tel.052-262-3628
words:原久子
窓の外の新栄町の景観と赤い家
黄青赤のそれぞれの色のモノトーンでプリントした町の写真
3つの時代の町と投影されるヴィデオ
3つの時代の町
町の模型に証言者の表情が重なる
1999-06-25 at 10:33 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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