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1999/06/29
中村哲也「レプリカ カスタム」展
「中身がない作品に中身がある理由って?」
会場風景。色も含めて見かけ倒し
■会場に入ると、目の前にはピカピカの乗り物らしいものが置いてある。もちろん、カッコだけというのはすぐわかるけど「なんかすげーなー」と思わずもらしてしまうほどのインパクト。
■展覧会タイトル「レプリカ カスタム」にあるように、これはレプリカだ。なんのレプリカかといえば、「速そうなもの」。当然ながら、実際には走らない。だけど、タイトル通りいかにも速く走りそうだ。作家である中村哲也氏のつくる作品は、どれも「見た目」が重要だ。
■「見た目」なんていうと中身がないのか、なんて思われるかもしれない。が、そのとおり中身はない、とならないのが彼の作品だ。彼は僕らがあまりにも当たり前のように得ている「見た目」からの情報に着目し、それをときにはわざとらしく誇張することで、作品として成立させている。フィニッシュの丁寧さ、完成度が「ウソ」と「ホント」の境界線を曖昧していることで、作品はさらに際だつっていうのがおもしろい。
■はっきり言って、僕はけっこう、いやかなり何も考えずに「ぱっ」と見かけで判断する方だ。それでも、やっぱりそれが間違ってるんじゃないか? と一応は思ったりする。だけど、中身がないことを武器にした中村さんの作品が堂々とギャラリーに置かれていると、「うーん、やっぱ見た目って大事だよな」と納得してしまうのだ。結局、僕らの価値観なんてそんなものなのかもね。
中村哲也「レプリカ カスタム」
1999年6月29日(火)―7月19日(月)
ギャラリー小柳
東京都中央区銀座1-7-5
tel.03-3561-1896
11:00~19:00 日休
words:桑原勳
何層にも重ねられた美しい色には、本物っぽさとインチキさが同居している
車体には、本物のつなぎ目と、表面を削ったつなぎ目に見える溝がある。見分けがつく?
試作品である小型のレプリカも展示されている
作家の中村哲也氏。見かけ倒しかどうかは見る人次第
1999-06-29 at 08:56 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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