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1999/05/15
長谷川純展
「描き手のチカラ」
"Flooting Painting"横178センチの作品。表面が光って見えるのは、アクリルとハウスペイントを使っているから
■長谷川純(1969年生まれ)は、1991年からロンドンを拠点に活動している作家だ。ロンドンではMDF合板に描かれた人物を、その輪郭で切り取った(カットアウト・フィギュア)作品を発表していたが、今回の日本での初めての個展では、キャンヴァスに描かれた作品を制作したという。
■「自殺と殺人」が展覧会のテーマだと知って、ちょっとびっくりした。とても「死」を感じるような作品ではないからだ。色彩は妙に明るいし、とてものっぺりして平面的で、マンガやアニメを連想する人もいるだろう。僕だって最初はそう思ってしまった。
■これまでは、雑誌のモデルなどを描いていたらしいけど、どれも外国人の女性であるし、平面的に描かれた画面ということもあって、日本人である僕から見ればモデルであろうが一般人であろうがたいした差はない。というより、ここまで徹底的に(?)シンプルになると、描かれているモノより、その色彩や光沢といった見え方ばかりに目をひかれてしまう。描かれているのが日本人なら、全く違う印象になるんだろう。
■そもそも、さっきアニメやマンガという言葉を使ったけど、この作品はキャンヴァスに作家の手によって意識的にそう描かれているという点で、まったく違う性質のものだ。表現として二次元の平面であるということは、描き手がコントロールできる領域が限られているようで、かなり広いということを、僕たちは忘れていることが多い。だから今回のような作品を見ると、また新鮮な気分になって嬉しくなってしまうのだ。
長谷川純展
1999年5月15日(土)—6月19日(土)
TARO NASU GALLERY
東京都江東区佐賀1-8-13食糧ビル2F
tel.03-3630-7759
11:00〜19:00 日月休
words:桑原勳
"BedRoom"今回は横たわる女性の姿を描いた作品がメインだ
"Daughter1,Daughter2"
今回以前の展覧会ではMDFをカッティングしたこのような作品で知られていた
会場風景
1999-05-15 at 09:18 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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