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1999/04/20

廣岡千恵展

「口角が上がるアート」 


art65_h01三方の壁が赤とオレンジ色のビニール素材のシートで覆われている。


■浮き袋や、子どもの頃空気を入れて使った家庭用のプールのことを覚えていますか?ビニールのあのツルツル感や膨らみ。廣岡さんの作品は、生活のなかにある普通のものがモティーフとなっている。それらが、彼女の世界に引き込まれて作品というかたちになると、いっしょに戯れたくなるし、なにより口角が上がって、思わずニコニコ顔になってしまうものに変身する。

■今回は白い床と赤い壁への照明の照り返しで、視覚というか、視神経というか、眼球に強烈な刺激がある。壁から飛び出しているのは、ドアノブ(扉の取っ手)と、それについているカバーの房みたいなイメージのもの。

■腰の高さくらいのところに飛び出している半円柱のラインは手すりのイメージだったという。彼女が椅子に座ると、頭の後にちょうど枕のようにぴたりとしていた。そのせいか、私にとっては本人の口から「手すり」という言葉が出てくるまで、まったくそういう印象をもたなかった。

■作品というのは、つくり手がイメージしてつくったものを、そのまま受け手が感じ取ることを必ずしも求められてはいない。私が「枕みたいだよね」というと、彼女も笑って頷いていた。

■ジッパーでつないでいけば無限に大きさを変えることができるこの作品は、展示場所を移してどこにでも展示可能だ。壁面が高くなっても、幅が広くなってもパーツがあるかぎり拡がっていく。

■画廊の入り口側の壁には、ジッパーを全部閉めるとサイコロ型になる小品が3つ掛かっていた。画像で出ているのが、そのうちの一つの黄色いジッパーのもの。他は、赤いジッパーと青いジッパーの3色あった。

*展覧会は終了したが、5/18-30(月休、入場無料)に京都の嵯峨美術短期大学内ギャラリー(お問い合わせ:tel.(075)864-7858)にて行われるグループ展「新鮮感 '99 」でこの作品をみることができる!

●廣岡千恵展
1999年4月20日ー5月2日
ヴォイス・ギャラリー(京都)
tel.(075)211-2985


art65_h02


正面の壁は取っ手と房付

art65_h03


正方形のユニットはこんなふうにジッパーでつながっている。

art65_h04


立つと手すり、椅子に座ると枕にもなる??!(写真をいやがるシャイな廣岡さん)

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これ何だかわかりますか?

art65_h06


ジッパーを全部とめるとサイコロに。

1999-04-20 at 03:17 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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