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1999/03/02

PROJECT A.P.O

「見なくてもいい展覧会」


art56_05会場風景。展示スペースはけっこう広い


■今回開催された展覧会は、イタリア在住のアーティスト廣瀬智央と建築家の植田曉とのコラボレーション(共同制作)による展覧会だ。タイトルの「A.P.O」はイタリア語で「aria」「profumo」「odore」のそれぞれ匂いを表わす単語からとったもの。見る前は「A.P.O」ってなんだろう? と思ってたけど、会場に入ったら納得。

■ドアを開けると、まず強烈な芳香剤の匂いがしてくる。トイレの中によくあるアレだ。慣れているとはいえ、あの独特のなんとも判断できない匂いはけっこう苦手。その中身の樹脂の玉のようなものが2×3メートルくらいの大きなガラスケースに詰めこまれている。見た目もヘンだけど、これが匂うってことが不気味と思うのは僕だけ?

■さらに奥には赤い絨毯がいっぱいに敷き詰められている。遠目には大きな一枚に見えるけど、実際は8枚。靴を脱いでさっそく歩いてみると、このイランの遊牧民と共同制作したという絨毯はフカフカ。「そういえば最近絨毯って見なくなったなー」なんて歩いていると、いきなり「踏みごこち」が変わってしまった。「アレ?」と思いよく見てみると、一枚一枚の厚さや織りが違っていると気がついた。全部同じに見えたもんだから、まじまじと見てみた。

■屋上にも展示があるというので、細い廊下と急な階段(コワイ)をあがってみると、そこには赤いキャンプ用テントが9個設置されていた。屋上からまわりの風景を見ると、近くの隅田川にかかる橋や月島、晴海の方のビルはライトアップされるけど、この食糧ビルとは水路を挟んで別の町のように見える。町の雰囲気って、建物とか住んでいる人とか歴史とか、いろんなものが溶け込んでいるもんだ。「町の匂い」ってよく言うけど、それってなんだろうなー、なんて、テントのなかで寝転がりながら考えてみた。

■今回は展示の意図どおり、「見る」より「触る」「匂う」といった感覚を刺激されたものだったけど、毎日いろんなものを見すぎているせいか、僕らは視覚の本当の大切さを忘れているのかもしれない。目が見えなくなると困るけど、見えるならちゃんと見なきゃソンだよな、やっぱり。

「PROJECT A.P.O」
1999年3月2日(火)—28日(日)
佐賀町エキジビット・スペース
東京都江東区佐賀1-8-13
食糧ビル3F
TEL.03-3630-3243
11:00〜18:00 月休
入場料500円
また、江東区内の水路を釣り船に乗って移動する作品「collaboration T.U.A.2」は3/19〜22までの予約制。時間のある人は是非。これも貴重な体験ですよ。料金は1000円。さらに屋上のテントにも予約すれば宿泊できる。予約は上記電話番号まで。

words:桑原勳

art56_06絨毯の継ぎ目。見た目は同じだけど、踏むとゼンゼン違うのだ


art56_07これが匂いのもと。芳香剤って苦手だけどもはや生活必需品?


art56_08屋上はこうなってます。当然、普段展示されてないから貴重な体験かも


art56_09テントのなかにはスポンジがあって眠る体制はばっちし。


art56_10食糧ビルは雰囲気ある建物なので僕は好きです


1999-03-02 at 11:11 午前 in 展覧会レポート | Permalink

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